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エッセンの社会実験は頻度増加と半額定期に落ち着く

 窒素酸化物削減の社会実験を行う連邦のモデル都市5つの一つに選ばれたエッセン、その実験内容がほぼ固まってきた。最終的に9月26日に行われる市議会本会議で決定する運びとなっており、その提案を記した文書を手に入れたので、主な内容を紹介したい。

 すでに紹介したように、窒素酸化物削減のための社会実験で連邦が当初モデル都市に提案したのは、「公共交通の無料化」であった。しかし、選定された5都市の全てが、無料化実験には問題が多いとして、提案を見送った。どの都市も、公共交通には苦労している。無料化による利用増大を処理するのは困難で、しかもエッセンだけで年間1億ユーロと多額の資金が必要である。そこで、無料化を除くいろいろな案を考えて連邦に提案し、その中から話し合いで実施内容が選定された。エッセンの場合、30種類もの提案を行ったそうだが、最終的に3件が採用された。もちろん、メインとなる公共交通に関する多額の経費が必要な2つの提案は採用され、残る1件は自転車道路の整備である。
エッセンで採用された窒素酸化物対策の概要
対策内訳経費
主要バス5路線の運行増加
(電車についても1路線を対象)
バス8両購入292万ユーロ1670万ユーロ
運営費用918万ユーロ
インフラ整備410万ユーロ
広報宣伝 50万ユーロ
新規顧客への割引チケット割引き400万ユーロ400万ユーロ
自転車道路の整備計画と工事 50万ユーロ 50万ユーロ

 総額は2,120万ユーロを超え、1ユーロを130円とすると、約28億円にもなる。連邦はこの金額の95%を補助し、残る5%はエッセン市が負担する。この表からわかるように、対策の中心はバスを頻繁に走らせ、マイカーからの転換を促すことにある。現在、主要なバス路線は通勤ピーク時に10分間隔で走っているが、これを半分の5分にする。そのためにはバスの購入、運転手の雇用や、一定のインフラ整備が必要になる。

 そして、マイカーから転換する顧客には、定期券をほぼ半額で提供する。社会実験は2019年と2020年の2年前行われるので、2年定期の形で提供される。2年間という長期の固定に問題のある人は、インターネットから登録すれば、「ある月の定期を購入したら、翌月が無料になるクーポンを受け取る」方法も提供される。

 エッセン市は、新規にマイカーから転換する顧客だけでなく、既存の顧客にも割引チケットの提供を考えていた。しかし、これは窒素酸化物削減には関係ないとして、連邦が認めなかった。さらに大きな問題が、バス運転手の確保である。5分毎の走行には、70人以上の新規運転手が必要になる。現在でも運転手の確保に苦労しているのに、順調に雇用できるのかには不安がある。運転手の雇用は他都市との競争であり、2年間の社会実験終了後の雇用を保障できないと、どうしても競争で不利になるからである。この不利を緩和するため、エッセン市は社会実験終了後にも一定の補助を継続するよう連邦に求めたが、認められなかった。

 今月末の市議会を通れば、割引チケットは来年1月から、頻度の増加は来年6月のダイヤ改正から実施される。この社会実験がどうなるのか、興味を持って観察していきたい。
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| 公共交通 | 15:10 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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始発バスが出発までの残り時間をカウントダウン表示

 今日、福島駅の西口を歩いていて、ドアを開けたままのバスが停留所に停まっているのに気づいた。バスには何名か乗っていて、案内放送が繰り返して流されていた。どうも福島駅始発のバスらしい。あと数分で出発するのだろうが、正確に「あと何分か」はわからない。時計と時刻表を見れば見当はつくが、自分の時計と運転手の時計が同じ時刻を示しているか不明で、バスが正確に出発するとも限らない。こうして、「バスが停まっていたらすぐに乗り込み、降りずにじっと待つ」と行動することになる。これが私を始めとする日本人の行動様式であろう。

ミュルハイム中央駅の地下にあるバス乗り場で、出発を待つ133番線の始発バス。"Abfahrt in 3 Minuten"と、3分後に出発することを知らせている。(2018年撮影)
 ドイツでも、事情は同じである。しかし、もし「出発までの残り時間」がわかったら、便利になる。残り時間がわかれば、安心してキオスクでちょっとした買い物をしたり、知人と立ち話をすることができるからである。バスに乗っている人も、「いつ出発するんだろう」とイライラすることもなくなるだろう。こうして、ベルギーのブリュッセルやドイツ南西部のマンハイムなど、少し前から、残り時間のカウントダウン表示を試みる例が出てきた。

 ルール地方では、エッセンとミュルハイムを運行するルールバーンが、昨年末から取り組んでいる。まずいくつかの路線でテストを行い、とくに問題がなかったので、全てのバスと電車への採用を目ざし、広げているところである。そのためには、バス・電車のソフトウェア変更が必要になる。ルールバーンは、ソフトウェア会社とソフトの維持更新をまとめて契約している。ソフトウェア変更はこの契約内で行われ、特別な追加料金は支払っていないそうである。

 上の写真は、ミュルハイム中央駅の地下にあるバス乗り場で見つけた始発バスである。バスには、前と横に掲示する場所がある。133は路線番号で、その右側に、交互に「バスの目的地」と「出発までの残り時間」を示すようになっている。写真は、もちろん残り時間のカウントダウンの方を示している時に撮影している。

 始発停留所では「カウントダウン」、そして途中の停留所では「到着までの残り時間表示」と、ドイツの公共交通は「利用しやすさ」を目ざして少しずつ改善されている。このように努力してもマイカーの魅力には勝てず、公共交通が四苦八苦しているのは、日本と同じである。

| 公共交通 | 18:54 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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8月に枯れ木となったプラタナス - 日本と欧州の同時猛暑

 この夏の猛暑は半端でない、とくに外国から来た旅行者が「日本は暑い」と言っている姿がよく報道される。しかし、それがヨーロッパから来た観光客だったとすると、報道は正確さに欠ける。今年は日本とヨーロッパが共に猛暑で、「ヨーロッパの猛暑から逃れたと思っていたら、日本も猛暑だった」という人が多いはずだからである。これまで、日本とドイツが共に猛暑になったことは、私が新聞を毎日チェックするようになった2000年以降では記憶にない。ドイツから帰国した際、成田空港で降りる時に、「ドイツは涼しかったが、日本はまだ暑いので、注意するように」と言われたことがあるように、猛暑が重なることはまれである。しかし、今年は日本も異常気象で猛暑だが、ドイツも似たような状況で、ルール地方では久しぶりにプールが盛況である。

8月初めに枯れ木となってしまった、デュイスブルク市北部にある公園のプラタナス。(Der Westen紙より)。
 熱中症では湿度が高い日本の方が深刻なようだが、植物への影響はドイツの方が深刻で、先月の後半には、各地で「雨が降らなので、植物が枯れないように散水している」というニュースが見られるようになった。「ルール地方よもやま通信」の都市はどこも財政が苦しく、散水のための費用も大きな負担になる。そこで、「散水のため、市民に寄付を呼びかける」というニュースも流れた。

 そして今日、新聞に掲載されたのが、この写真である。デュイスブルク市北部の公園に植えられているプラタナスが、猛暑と乾燥の影響で、8月始めに葉が1枚もなくなってしまった、というのである。例年であれば落ち葉の季節は10~11月なので、3ヶ月も早く枯れてしまったわけである。

 この樹木は、まだ生きているのだろうか。市の緑地担当は、「来年の春に芽を吹く季節になるまでは、枯れ死したのかどうか、誰にもわからない」とコメントしたそうだ。樹木の生命力は強いので、多分生きているだろう、来年になればまた緑の葉を付けるに違いない、と私は信じている。

| 居住環境や緑・公害 | 18:05 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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プラごみ削減の活動"Refill":持参ビンに水道水を満たそう

 暑い毎日が続き、「熱中症予防のため、こまめに水を飲む」日が続いている。みな、どんな水を飲んでいるのだろうか。私は水道水に麦茶パックを入れて冷やしたり、空いたペットボトルに粉を溶かして飲んだりしている。自宅にいるからできる面もあるが、イギリスで始まり、ドイツでも拡大している"Refill"について知った影響もある。この猛暑がプラごみの大発生にならないように願いつつ、"Refill"という活動の趣旨を説明したい。

ステーションを知らせるドイツのシンボルマーク。(refill-deutschland.deより)
 右のマークが、ドイツの"Refill"のステーションを知らせるシンボルマークである。"Refill"は「再充填」「詰め替え」などを意味する英語で、ドイツ語では"auffüllen"となる。英語が使用されているのは、この活動がイギリスで始まった影響である。欧州連合(EU)環境局の主催で、2010年から始まったヨーロッパ緑の首都(欧州グリーン首都賞)では、毎年1つの都市を選び、ローカルな環境活動をモデル的に推進している。2015年に選ばれたのがイギリスのブリストルで、そこで考えられ、取り組まれたプロジェクトの一つが、この"Refill"である。

 "Refill"キャンペーンでは、町中の店舗、公共施設などが、ビンやボトルを持参した人に、無料で水道水を提供する。それにより、ペットボトルなどのプラごみを減らそう、という活動である。ブリストルには200の水道水ステーションがあるそうなので、1日に1回利用された場合、年間では7万3千本のプラスチックボトルを節約できることになる。この活動がドイツに伝わってきたのは、ハンブルクに協会が設立された2017年3月である。現在は50以上の都市に拡大しており、ベルリンにはステーションが230箇所もあるそうだ。ドイツの"Refill"ホームページにステーションの位置が示されているので、確認できる。ルール地方で最も広がっているのが、昨年の「ヨーロッパ緑の首都」であるエッセンである。私がこの活動を知ったのはミュルハイムで、少し前から市と水道局が力を入れており、まず公共施設3箇所にステーションが置かれた。

 ところで、よく「海外旅行で水道水を飲むと、お腹をこわす恐れがある」と言われる。私もできるだけミネラルウォーターなどを買って飲むようにしているが、それでは間に合わなくなり、水道水を飲んだことも結構ある。その体験から考え、ドイツの水道水は飲んでも大丈夫だと考えている。おそらく、他のEU諸国も同じだろう。ドイツに居住経験のある方と水道水の話しをしたこともあるが、みな「自分の町の水道水は大丈夫」と自信を示されていた。

 そして、日本の水道水については、皆さんご存じのように、厳しい基準もあり、大丈夫である。とくに私が住んでいる福島市は、水道水をペットボトルに入れ、「ふくしまの水」として売り出しており、品質評価のコンテストでも受賞している。私が麦茶として飲んでいる水道水は、この最高金賞を受賞した「ふくしまの水」である。

| エネルギー・地球環境 | 22:43 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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この橋を1ユーロで売ります

 ドイツでは、価値はあるが、所有すると維持管理費用の出費が必要なのの理由で購入したい者がいない場合などに、象徴的に「1ユーロで売る」というケースがある。今回、1ユーロでの販売が検討されたのは、鉄道の上を走る道路に架かる橋である。橋を所有しているメルス市(Moers市、メールス市とも書かれる)市議会の都市発展委員会が、先月の会議で、「隣接するデュイスブルク市と、この橋を1ユーロで売却する交渉を行う」と決定した。橋は老朽化しており、取り壊しにも費用がかかり、新橋建設に時間がかかるため、住民は暫定橋の建設を求めている。これまでの責任もあるので、メルス市はこれらに関し、「取り壊し費用は提供し、暫定橋も一部を負担する」。ただ、「新橋の建設からは手を引き、デュイスブルク市にお願いしたい」ということである。今回の提案の背景には、これまでの経過や、橋の位置が関係している。

東側からアン・デア・ケルベ橋を見る。6本のポールが車の侵入を止めている。自転車と歩行者は通行が許されており、右側に見える自転車も橋を通って来たところである。(2018年撮影)
 この橋は、もともと下を通るドイツ鉄道が1910年に建設し、所有していた。しかし、ドイツ鉄道の民営化に際し、財務上の理由で、メルス市に寄付を申し出て、1990年代中期に市に移管された。その後数年間は、何事もなく経過した。しかし、21世紀に入ると老朽化が問題として浮上し、何回も新聞に取り上げられてきている。

 2001年に、橋は「老朽化している」と判定され、車が走る車線が中央部の1車線だけに狭められ、大型トラックの走行が制限された。同時に、メルス市は、架け替えのため州補助金獲得を目指し、構想を作成して申請すると発表した。構想は2005年にまとめられ、メルス市は秋に補助を申請し、「工事は2007年に開始できる」と、楽観的な予想を発表した。州の補助率は80%で、残る20%につき、メルス市は、デュイスブルク市に半額を負担するよう求めて交渉すると表明した。なぜメルス市は、デュイスブルクに執拗にl負担を求めるのだろうか。その理由は、下の地図を見れば理解できる。

赤色が鉄道で、ピンク色がアン・デア・ケルベ橋。(Stdtplandienstの地図を基礎に一部を修正)

 確かに橋はメルス市のSchwachheim(シュバハハイム)地区にある。しかし、デュイスブルク市Rheinhausen(ラインハウゼン)区のTrompet(トロンペット)地区とRumeln(ルメルン)地区を結ぶ性格が強く、この橋を通る路線バスも、デュイスブルク市交通会社のバスだけである。

 その後も、橋の老朽化は進行した。当初は16トンまでのトラック走行が許容されていたが、2010年に12トンに下げられ、橋の入口に、大型トラックが走行しないように高さ3.2mの枠が設置された。ところが、無理に通ろうとするトラックに枠が何回も壊され、2014年には高さに加えて車幅を2mに制限することとなり、バスも通行できなくなった。これでは不便なので、応急修理による延命が実施され、2015年夏に再びバスやトラックが走られるようになった。延命工事は「5年は大丈夫」とされていたが、2017年7月に別の問題点が見つかり、今度は人と自転車しか通行できなくポールが立てられ、現在も続いている。

 この問題では、メルス市の無責任さがかなり目立つ。州に補助金を申請するとしながら、補助金がついたという報道は全くなく、どういう状況なのかがわからない。デュイスブルク市が半額負担を了承しないので決定できないという情報が流れたこともあるが、メルス市が真剣に対処している雰囲気は伝わって来ない。そして、「1ユーロ売却案」の登場である。市域の変更が検討されているという話もあり、これは橋を1ユーロで売却するより筋が通る。

 地図でわかるように、南側への迂回は湖の南を回るため大変で、北側へ迂回した場合は、住宅地を通過することとなり、住民から騒音などの苦情が出ている。もちろん、迂回しなければならない住民からも苦情が出ており、橋の入口で暫定橋を求める集会が行われたこともある。問題の背後には、インフラの老朽化と、ルール地方市町村の財政が厳しいという現実が横たわっており、簡単に解決しそうには感じられない。橋と迂回路の周辺に居住する住民のため、何とか解決を見出してほしいと希望したい。

| アウトバーンや交通規制 | 22:59 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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デュイスブルク市の住宅会社ゲバッグも「半端ない」

 サッカーでは、ワールドカップ「コロンビア戦」で最優秀選手に選ばれた大迫選手を褒め称える「大迫半端ないって」という言葉が流れている。一方、デュイスブルク市の住宅会社ゲバッグは、"Keine halben Sachen"、つまり「半端ない」というタイトルで180ページの冊子を発行した。ニュースで発行が報道されたのは3月末だが、私が知ったのは数日前で、早速その冊子をダウンロードした。

 ゲバッグは、デュイスブルク市の子会社である。だから、ゲバッグの住宅は、日本流に言うと「デュイスブルク市営住宅」のようなものだが、独立した会社なので、住宅建設以外のことも行える。そのゲバッグは、4年前に倒産寸前に追い込まれた。原因は、都心近くの美術館拡張工事に巻き込まれたことにある。

旧製粉工場のサイロの上に展示室を追加する拡張工事の完成予想図。設計はスイスの建築家(Der Westen紙より)。その後、増築位置がサイロ手前に変更され、2019年末のオープンが予定されている。
 当時、ゲバッグは住宅以外の物件にも手を出しており、政治の影響を受けやすかった。デュイスブルク市の都心近くにある製粉工場が閉鎖された後、市が建物を購入して改造し、1999年に現代美術館"キュプファーミューレ"としてオープンした。しかし、旧工場であるため、展示の場所が狭い。そこで、右の写真のようなユニークな屋上展示室の増築が計画され、2009年に着工された。このニュースを読んだ当時、「増築部が不安定に見えるが、本当に建築されるのだろうか」と感じたことを覚えている。住宅とは関係ない工事だが、ゲバッグが担うことになった。

 工事は当初は順調に進んだが、少し経過した頃、「経費が予想より膨張した」というニュースが流れてきた。ゲバッグには、追加費用を負担する義務を引き受けていた。当初の予算は2000万ユーロだったが、それが3300万、4800万と増加し、ゲバッグを苦境に追いやった。これほど状況を悪化させたのが、「溶接工事の手抜き」である。溶接工事を受注した会社は、必要な溶接報告書を工事管理会社に提出せず、管理会社がおかしいと感じ始めた頃に倒産した。その後、溶接作業員から手抜き工事の内部告発があり、別の溶接会社に依頼して調査したところ、意図的としか考えられない手抜き工事で、溶接部分を全てやり直す必要があることがわかった。こうして工事は中断され、ゲバッグは泥沼にはまり込んでいった。

 最終的にゲバッグは、それまでに生じた損失4000万ユーロを補償した上で、工事から手を引くことになった。当時のゲバッグ首脳陣は退陣し、しかも会社から損害賠償を請求されている。ゲバッグは、補償額を捻出するため住宅を売却し、所有戸数が約1万4000戸から1万2200戸に減少と、痛すぎる結果になった。失敗に懲りたデュイスブルク市は、このような経験を繰り返さないことを誓い、2014年に新社長の下で生まれ変わった。新社長ヴォルトマイヤーは44歳で、ドルトムント市の住宅子会社ドゲボの運営にナンバー2として当たっていた。

 新社長は、本業である住宅に集中し、必要な投資を行い、5~10年で黒字化を目ざすという方針を発表した。当時、ゲバッグは本業である住宅の賃貸で10%近い空き家をかかえ、四苦八苦の状況にあった。空き家の一因は「住宅改修の遅れ」である。広くいろんな分野に手を出したため、本業がおろそかになっていたわけである。今後は、州の補助金などを積極的に活用し、滞っていた住宅改修を進め、物件によっては取り壊して改築し、あるいは新築も行う。この方針は、2015年から実施に移された。

 そして3年が経過した。新社長の下で、ゲバッグはこの3年間に約900戸の住宅を改修しただけでなく、13件の新築プロジェクトと、10件の宅地開発を行った。その効果で空家率が5%とかつての半分に減少し、収入を増加させ、5~10年先と思われていた黒字化を2017年に達成できた。そこで、これらの改修プロジェクト35件と、新築と宅地開発プロジェクトを紹介するために冊子が作成され、"Keine halben Sachen"、つまり「半端ない」というタイトルがつけられた。わずか3年間で黒字に転換できた背景には、2015年秋にシリアなどから大量の難民が押し寄せ、その収容に多数の住宅が必要となった事情もある。この「神風」が吹かなければ、5年はかかっていたかもしれない。

 冊子はドイツ語で書かれているが、写真が多いので、ドイツ語がわからなくても楽しめると思う。このリンクをクリックするとpdfが出てくるので、興味のある方は読んでみてほしい。pdfでは90ページだが、2ページから89ページまでが左右見開きになっていて、計178ページになる。

| 人口減少や住宅 | 18:08 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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オーバーハウゼンに自転車優先信号が登場

 「ドイツには路面電車の優先信号があるので、電車が一般車よりも早く目的地へ到達できる」という話しを聞いた方もいらっしゃると思う。確かにその通りで、専用軌道を有す路面電車は、ほぼ優先信号を享受していると考えてもいいだろう。思い出すのは、10年ほど前、南ドイツのハイデルベルクでの体験である。中央駅から1.5キロほど離れている都心のビスマルク広場で、駅に行こうとして、「電車でもバスでもいいのだが」と待っていた。バスが来たので、そのバスに乗った。多くの客が乗降するので、バスが出発するまで少し時間がかかり、そのうちに電車も来たが、バスの方が早く出発した。中央駅に着くのがどうなるだろうかと思って乗っていたら、少し進んだところで電車に抜かれ、駅に着く頃には信号1廻り以上の差が開いてしまった。だから、距離が長くなると、かなり差が広がると思われる。

オーバーハウゼン都心に設置された、自転車感応信号の存在を示す標識。赤っぽい自転車レーンを走る自転車が信号機に到着した頃に青信号になるように調整されている。(Der Westen紙より)
 最近はバスの優先信号もあるらしいので、バスと電車の差は縮まっているかもしれない。その一方で、地球温暖化との関係で、自転車も見直されている。そこで考えられるのが、「自転車優先信号を設置できないか」ということである。もちろん、そのためには、走っている自転車を感知することが必要になるが、最近のハイテクを使用すれば可能なはずである。

 こうして、オーバーハウゼンに、州で初めての「自転車感応信号」が登場した。全体で30箇所を予定しており、1箇所目が動き出したのは昨日の6月6日(水)で、今月中には全て稼働する予定である。信号の調整には努力が必要だったそうで、3回目の試みでうまくいった、つまり「ほとんど待たずに車道を横断することに成功した」そうだ。気ままに町を走り回り、スピードもいろいろな自転車なので、どこまで自転車優先信号が機能するかは、腕の見せ所になるのかもしれない。

 自転車の感知方法には、赤外線カメラと、地面に埋めるコイルによる方法がある。赤外線カメラの方が高いので、コイルを埋められない場所だけ赤外線カメラが採用されているそうだ。財政難のオーバーハウゼンに他都市に率先して自転車優先信号が登場したのは、連邦の呼びかけに応じて計画を応募し、補助金を獲得したからである。市は、経費の10%だけ負担すればいい。

 全ての優先信号が動き出した後に、実際に自転車で町を走り、どの程度の効果があるかチェックされることになっている。どのような結果が出てくるのか、今から楽しみである。

| 自転車や歩道・舗装 | 22:33 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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