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デュイスブルク市の住宅会社ゲバッグも「半端ない」

 サッカーでは、ワールドカップ「コロンビア戦」で最優秀選手に選ばれた大迫選手を褒め称える「大迫半端ないって」という言葉が流れている。一方、デュイスブルク市の住宅会社ゲバッグは、"Keine halben Sachen"、つまり「半端ない」というタイトルで180ページの冊子を発行した。ニュースで発行が報道されたのは3月末だが、私が知ったのは数日前で、早速その冊子をダウンロードした。

 ゲバッグは、デュイスブルク市の子会社である。だから、ゲバッグの住宅は、日本流に言うと「デュイスブルク市営住宅」のようなものだが、独立した会社なので、住宅建設以外のことも行える。そのゲバッグは、4年前に倒産寸前に追い込まれた。原因は、都心近くの美術館拡張工事に巻き込まれたことにある。

旧製粉工場のサイロの上に展示室を追加する拡張工事の完成予想図。設計はスイスの建築家(Der Westen紙より)。その後、増築位置がサイロ手前に変更され、2019年末のオープンが予定されている。
 当時、ゲバッグは住宅以外の物件にも手を出しており、政治の影響を受けやすかった。デュイスブルク市の都心近くにある製粉工場が閉鎖された後、市が建物を購入して改造し、1999年に現代美術館"キュプファーミューレ"としてオープンした。しかし、旧工場であるため、展示の場所が狭い。そこで、右の写真のようなユニークな屋上展示室の増築が計画され、2009年に着工された。このニュースを読んだ当時、「増築部が不安定に見えるが、本当に建築されるのだろうか」と感じたことを覚えている。住宅とは関係ない工事だが、ゲバッグが担うことになった。

 工事は当初は順調に進んだが、少し経過した頃、「経費が予想より膨張した」というニュースが流れてきた。ゲバッグには、追加費用を負担する義務を引き受けていた。当初の予算は2000万ユーロだったが、それが3300万、4800万と増加し、ゲバッグを苦境に追いやった。これほど状況を悪化させたのが、「溶接工事の手抜き」である。溶接工事を受注した会社は、必要な溶接報告書を工事管理会社に提出せず、管理会社がおかしいと感じ始めた頃に倒産した。その後、溶接作業員から手抜き工事の内部告発があり、別の溶接会社に依頼して調査したところ、意図的としか考えられない手抜き工事で、溶接部分を全てやり直す必要があることがわかった。こうして工事は中断され、ゲバッグは泥沼にはまり込んでいった。

 最終的にゲバッグは、それまでに生じた損失4000万ユーロを補償した上で、工事から手を引くことになった。当時のゲバッグ首脳陣は退陣し、しかも会社から損害賠償を請求されている。ゲバッグは、補償額を捻出するため住宅を売却し、所有戸数が約1万4000戸から1万2200戸に減少と、痛すぎる結果になった。失敗に懲りたデュイスブルク市は、このような経験を繰り返さないことを誓い、2014年に新社長の下で生まれ変わった。新社長ヴォルトマイヤーは44歳で、ドルトムント市の住宅子会社ドゲボの運営にナンバー2として当たっていた。

 新社長は、本業である住宅に集中し、必要な投資を行い、5~10年で黒字化を目ざすという方針を発表した。当時、ゲバッグは本業である住宅の賃貸で10%近い空き家をかかえ、四苦八苦の状況にあった。空き家の一因は「住宅改修の遅れ」である。広くいろんな分野に手を出したため、本業がおろそかになっていたわけである。今後は、州の補助金などを積極的に活用し、滞っていた住宅改修を進め、物件によっては取り壊して改築し、あるいは新築も行う。この方針は、2015年から実施に移された。

 そして3年が経過した。新社長の下で、ゲバッグはこの3年間に約900戸の住宅を改修しただけでなく、13件の新築プロジェクトと、10件の宅地開発を行った。その効果で空家率が5%とかつての半分に減少し、収入を増加させ、5~10年先と思われていた黒字化を2017年に達成できた。そこで、これらの改修プロジェクト35件と、新築と宅地開発プロジェクトを紹介するために冊子が作成され、"Keine halben Sachen"、つまり「半端ない」というタイトルがつけられた。わずか3年間で黒字に転換できた背景には、2015年秋にシリアなどから大量の難民が押し寄せ、その収容に多数の住宅が必要となった事情もある。この「神風」が吹かなければ、5年はかかっていたかもしれない。

 冊子はドイツ語で書かれているが、写真が多いので、ドイツ語がわからなくても楽しめると思う。このリンクをクリックするとpdfが出てくるので、興味のある方は読んでみてほしい。pdfでは90ページだが、2ページから89ページまでが左右見開きになっていて、計178ページになる。
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| 人口減少や住宅 | 18:08 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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オーバーハウゼンに自転車優先信号が登場

 「ドイツには路面電車の優先信号があるので、電車が一般車よりも早く目的地へ到達できる」という話しを聞いた方もいらっしゃると思う。確かにその通りで、専用軌道を有す路面電車は、ほぼ優先信号を享受していると考えてもいいだろう。思い出すのは、10年ほど前、南ドイツのハイデルベルクでの体験である。中央駅から1.5キロほど離れている都心のビスマルク広場で、駅に行こうとして、「電車でもバスでもいいのだが」と待っていた。バスが来たので、そのバスに乗った。多くの客が乗降するので、バスが出発するまで少し時間がかかり、そのうちに電車も来たが、バスの方が早く出発した。中央駅に着くのがどうなるだろうかと思って乗っていたら、少し進んだところで電車に抜かれ、駅に着く頃には信号1廻り以上の差が開いてしまった。だから、距離が長くなると、かなり差が広がると思われる。

オーバーハウゼン都心に設置された、自転車感応信号の存在を示す標識。赤っぽい自転車レーンを走る自転車が信号機に到着した頃に青信号になるように調整されている。(Der Westen紙より)
 最近はバスの優先信号もあるらしいので、バスと電車の差は縮まっているかもしれない。その一方で、地球温暖化との関係で、自転車も見直されている。そこで考えられるのが、「自転車優先信号を設置できないか」ということである。もちろん、そのためには、走っている自転車を感知することが必要になるが、最近のハイテクを使用すれば可能なはずである。

 こうして、オーバーハウゼンに、州で初めての「自転車感応信号」が登場した。全体で30箇所を予定しており、1箇所目が動き出したのは昨日の6月6日(水)で、今月中には全て稼働する予定である。信号の調整には努力が必要だったそうで、3回目の試みでうまくいった、つまり「ほとんど待たずに車道を横断することに成功した」そうだ。気ままに町を走り回り、スピードもいろいろな自転車なので、どこまで自転車優先信号が機能するかは、腕の見せ所になるのかもしれない。

 自転車の感知方法には、赤外線カメラと、地面に埋めるコイルによる方法がある。赤外線カメラの方が高いので、コイルを埋められない場所だけ赤外線カメラが採用されているそうだ。財政難のオーバーハウゼンに他都市に率先して自転車優先信号が登場したのは、連邦の呼びかけに応じて計画を応募し、補助金を獲得したからである。市は、経費の10%だけ負担すればいい。

 全ての優先信号が動き出した後に、実際に自転車で町を走り、どの程度の効果があるかチェックされることになっている。どのような結果が出てくるのか、今から楽しみである。

| 自転車や歩道・舗装 | 22:33 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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樹木保護運動のプラスチックテープが物議をかもす

 先月末、デュイスブルクで樹木保護を目ざす環境グループが集まり、「無傷の - 都市は誰のものか」という団体を立ち上げ、直ちに樹木保護を市民に訴える活動を開始した。ところが、その活動方法に対し、「環境に悪影響を及ぼすのではないか」という意見が出され、物議をかもしている。そこで、この団体が設置された事情と、取り組んだ活動、そして何が問題となっているのかを説明しよう。

樹木にテープを巻き、それを示す環境グループ。テープには、オレンジ色の部分に「樹木をまもる」と、白い部分には「大気は我々に由来する(酸素を供給していることを意味すると思われる)」と書かれている。(Der Westen紙より)
 この団体が設置された背景にあるのが、3年前の2015年4月中旬に駅前のプラタナスが伐採された事件である。このようなことが繰り返されないようにと、3年を経過した先月に、関連する団体やグループが大同団結し、新しい団体結成に漕ぎつけた。

 こうして取り組んだのが、右の写真のようなオレンジ色のテープを樹木に巻きつけ、市民に樹木の大切さを訴える活動で、市内の約2500本の木に巻かれた。問題は、このテープが「プラスチック」であることである。樹木に巻き付けるので、すぐに弱くなる紙ではなく、耐久性があるとして選ばれたのだろうが、それでもいつかは剥がれたりして、ごみになる。紙であれば微生物に分解されるだろうが、プラスチックは細片になってもプラスチックのままである。だから、いずれは海に流れ込み、海で生活する生物に悪影響を及ぼすことが心配される、というわけである。もちろん、そうなる前に外して処分することも考えられるが、その際には市のごみ処理費用がかかり、市民の負担になってしまうことが問題となる。

 この論争は始まったばかりで、どのように進んでいくのかは全く予想できない。いずれにせよ、「環境を大切にする活動」には考えておくべき点が多くあり、批判されないように注意が必要である。

| 居住環境や緑・公害 | 20:48 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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ルール地方各地の小学校にプレハブ教室が出現

 シリア内戦の影響でドイツが大量の難民を受け入れ始めてから、すでに3年近くが経過した。当初は受け入れ施設の整備が大問題で、応急的にテント村も設置された。その後、難民の流入が減少する一方で、ドイツでの生活に慣れた難民は、生活の場が一時受け入れ施設から一般住宅へと移行している。こうしてテント村はほぼ消え、支払い可能な居住空間の供給が重要になってきている。

 居住場所以外にも、いろいろな変化が見られる。当初は難民にドイツ語を学んでもらうことがとくかく重要で、ボランティアによるドイツ語教室も生まれた。昨年の秋、デュイスブルクでスポーツ施設跡地に設置された難民一時受け入れ施設を眺めていた時、そこに暮らしている若者に話しかけられたことがある。その若者は流ちょうなドイツ語を話していて、「若者へのドイツ語教育が順調に進んでいるのだな」と感じられた。

北側から小学校を見る。道路そばの銀色の平屋がプレハブ教室。下校時刻が近いので、出口近くに迎えに来ている親が見られる。(2018年撮影)
 こうして、難民は次第に「普通の市民」への道を進みつつある。そのなかで、これまでの傾向が逆転する現象も生じてきている。その典型が、小学校の「プレハブ教室」である。これまでは人口減少の中で生徒数が減少し、小学校の閉校が課題とされ、すでに多数の小学校が消えている。ところが、現在は逆に生徒数の増加が見られる。「閉校した小学校を再び利用すればいい」、こう考える人も多いことだろう。確かにそうだが、数年間閉校した学校の利用には、整備費用が必要になる。普通の自治体であれば問題ないかもしれないが、財政の苦しいルール都市には大変である。そこで、当面の策として、かつて日本でも見られた「プレハブ教室」(ドイツでは「コンテナー」と呼ばれる)が登場することとなった。

右側が校舎で、左側に見えるのがプレハブ教室。上の写真の右側から撮影している。
 右の写真は、ボーフム市西部のヴァッテンシャイト区にある小学校である。ドイツの小学校は4年制で、グラウンドや体育館、プールはない(地域の施設を使用する)ため、日本と比べるとはるかに小規模である。この小学校も建物は1棟で、そこに各学年3つの教室が置かれている。ところが2016年度は新入生が4クラスになることとなり、区で初のプレハブ教室が設置された。校内にこれ以上プレハブ教室を設置する余地はないので、2017年度は3クラスに調整され、区内の他小学校にプレハブ教室が設置されている。

 ヴァッテンシャイト区は、面積24平方キロ、人口7万人で、4年前に3つの小学校が閉校されている。3校の閉校が決められた2012年前後には、閉校に反対する親や卒業生から多くの批判が寄せられたが、それから5年も経過していない時期にプレハブ教室が設置される結果となったわけで、将来を予想するのが難しいことを示している。日本でも、少子高齢化に変化の兆しが見えるといいのだが・・・。

| 難民と移民 | 17:50 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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アウトバーン橋下のトラックへの放火で交通に甚大な影響

 ドイツのニュースを何年もチェックしているが、うんざりするというか、「何とかならないのものか」と思うのが、放火や落書きのニュースである。社会への適応に問題がある若者などが行う犯罪で、誰も得をする者はなく、社会に損害がもたらされるのは、つらいことである。落書きはがまんできる人もいるかもしれないが、元に戻すにはかなり経費がかかる。そして放火では、貴重な財産が一瞬で失われるだけでなく、命に関わることもあり、火災跡は周囲にマイナスの影響を及ぼす。ドイツのニュースを見ていると、失火による火災は少なく、火災の大部分は放火である。「社会の病」、こう表現することができると思う。

火災現場では車が焼けただれ、橋からはロープが垂れ下がっている。(Der Westen紙より)
 そのような放火の中でも、4月16日の早朝にデュイスブルクのアウトバーン59号線のベルリーナ橋の下に駐車していたトラックへの放火ほど大きな影響を及ぼす例は、珍しい。橋の下に木材を積んで駐車していたトラックに放火された。もちろん、気づいた人が消防に連絡したが、消防が到着したときは、トラックに加え、隣の車も火に包まれていた。こうして、計5台の車が全焼し、他にも数台が損害を受けた。

 これだけでも数千万円の被害だが、問題は場所が「アウトバーンの橋下」であったことである。火災の熱で橋を構成している鉄とコンクリートが損傷した。まずは調査のために橋の通行が止められた。ドイツ、とくにルール地方ではアウトバーンが網の目のようなネットワークを構成しているが、通行できない車が周囲の一般道やアウトバーンへ迂回するため、影響は広域にわたっている。しかも、橋の修復には期間がかかる。火災の直撃を受け、「少なくとも1週間は閉鎖する」と発表されたたベルリーナ橋の北行き車線は、2週間後の現在も通行禁止のままである。予定では、あさっての5月1日から、速度制限の上で通行できることになっている。

 犯人がわかりにくい放火だが、この事件の場合は、目撃証言により、数日後に容疑者の兄弟が逮捕された。取り調べの結果、兄(29歳)が放火を自白し、弟(19歳)は釈放された。兄は刑務所から釈放されて出てきたばかりで、弟の住まいに世話になっていた。

 福島でも、20年近く前に何回か放火が続いたことがあったが、犯人は逮捕され、その後は問題は聞いていない。放火や落書きが少ないことは、日本の長所だと思う。ドイツも、私が1年を過ごした40年以上前は、落書きもほとんど見当たらず、日本とあまり変わらなかった。日本も、最近の海外からの旅行者増加などで落書きが増える気配もあるが、長所はこのまま維持したいものだと思う。

| アウトバーンや交通規制 | 23:36 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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ドイツのイケアが郊外出店から都心回帰へと大転換

 先週、ドイツのイケアが、これまでの出店方針を転換し、車に依存した郊外出店から、公共交通の便が良いところへ出店すると発表した。もちろん、私はこの転換を大歓迎している。

エッセン都心ベルリーナ広場のすぐそばにあるイケア店(2001年撮影)。売場面積は約1万5千平米で、2012年頃、イケアは「この面積では持続性がない、あと1万平米はほしい」と、市外を中心に探していた。その後2014年に、市内残留を目ざすエッセン市と、2kmほど北西の工場跡地に移転することで合意していた。
 これまで、イケアは郊外に出店し、自店舗を中心としたショッピングセンター整備を行ったりもしてきた(たとえば南ドイツのウルム)。しかし、中心市街地の衰退を防止しようとするドイツ都市計画により、その方針は認められなくなった。ショッピングセンターの形成を断念させられたイケアは、その後も郊外進出は進めた。もちろん、ルール地方も例外ではなく、ドルトムントに郊外店を建設し、都心に店舗があるエッセンでは郊外への拡大移転を計画し、さらにはエッセン北のボトロップと、ドルトムント北西のカストロプ・ラウクセルに郊外型新店舗の建設準備を進めていた。

 ところが、そのイケアが、「郊外はもはや将来性がない」として、ボトロップとカストロプ・ラウクセルへの新店舗建設を断念し、エッセンの移転計画も再検討すると発表したのである。とても大きな方針転換で、このニュースには驚いた。ボトロップとカストロプ・ラウクセルの市長は、とても落胆しているそうだ。

 イケアによると、背景には、イケアがドイツ市場に浸透し、あまり大きな成長が望めなくなったことがある。しかも、最近の若い世代は、以前ほどは車に依存しなくなった。そこで戦術を転換し、車のない客でも利用できる場所を目ざすことにしたそうだ。その一方で、インターネットによるオンライン販売は増加し、すでに売り上げの6%はオンライン販売になっている。10%を超える日も遠くないと思われるので、これには配送センターの整備で対応する。こうして、これまでの郊外出店から、「都心店プラス配送センター」に転換する方針が決定された。

 もちろん、この転換の背景には、ドイツが郊外出店を規制し、都心の活性化を維持していることがある。このような都市計画の転換が行われたのは、もう20年以上前のことで、遂にイケアが方針転換することになったのかと、感慨深いものがある。日本はまだ郊外出店をかなり認めているが、ドイツに見習い、都心活性化をもっと進めてほしいものだと考える。

| 中心市街地や近隣供給 | 23:07 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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昨日の日曜は23時間 - 夏時間開始で健康に要注意

 一昨日、ドイツのニュースを見ていて、睡眠に関する記事が目についた。気にとめずに見過ごしていたが、昨日は別の新聞社にも睡眠の記事があった。それで思い出した、「夏時間」が始まるのだ。毎年のことなのに、これまでは記事に気づかなかった。そこで、念のため、その記事をダウンロードしておいた。

 今日になって記事を読んでみて、取りあげられている背景が分かった。EU(欧州連合)で、先月、夏時間に反対する意見が出されたため、夏時間導入の長所と欠点を列挙して再検討する予定になっているそうだ。これが、夏時間の開始を新聞が取りあげた理由らしい。内容を読むと、これまで聞いたことのない健康面の問題が書かれていたので、ブログで紹介することにした。

 ずっと前の1970年代には、イギリスでは夏時間が実施されていたが、ドイツにはなく、ドイツに導入されたのは1980年のことである。その後、1996年に、EU全体も夏時間を導入することになった。夏時間への転換は土曜日の深夜(日曜日の朝)に行われる。今年の場合、3月25日(日)午前1時59分の次は「午前2時」でなく「午前3時」になり、1日が23時間しかない。これから10月末までの7ヶ月間、夏時間が継続する。3月末の夏時間開始時は1時間を失い、10月末の終了時は1時間をプレゼントされる、という感じである。

 EUでの検討される予定になっているため、新聞は警察、消防、空港や鉄道にインタビューを行った。たしかに時計の針を廻すのは面倒だが、これまでも処理してきており、どこでも「問題ない」という反応が得られた。しかし、問題は、時刻に敏感な職場ではなく、人の健康面にあるらしい。これは初耳だった。夏時間に移行する際に失う1時間が、人体のバイオリズムに悪影響を有す、ということである。もちろん、大抵の人はその影響を短期間に乗り越えることができる。しかし、人によっては期間がかかり、さらには体調が悪化する人もいるそうで、複数の研究結果がある。ドイツではないが、夏時間への変更後3日間に心筋梗塞の件数が増加するという報告があり、ドイツの保険会社DAKも心筋梗塞の増加を報告しているそうだ。

 さて、これから行われるというEUでの検討はどうなるのだろうか。ドイツでも、DAKのアンケートによると、回答者の70%が夏時間の廃止を望んでいるそうなので、廃止される可能性がある。ちなみに、日本からドイツを眺めている私としては、夏時間が継続される方が嬉しい。理由はたわいないもので、夏時間の間は日本とドイツの時差は「7時間」だが、元に戻ると「8時間」になり、ドイツが遠くなる気がするからだ。もちろん、健康面の検討の方がはるかに重要で、それを基礎に結論が出されるのが当然だろう。

| ドイツと日本と | 17:11 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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