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商店街の駐車場を長時間駐車からまもる「駐車ディスク」

 最近の日本では、買い物に車を欠かせない客が主体になっているので、商店街はどこでも駐車場の整備に努めている。この点は、ドイツも同じである。都心商店街は駐車が有料なのが普通だが、近隣商店街では、一定時間は無料で駐車できるようにしているところが多い。

 しかし、便利でいろんな機能を備えている商店街では、無料駐車は悩ましい問題へとつながる。それは、買い物客用の駐車場が、通勤や仕事のための車に使われてしまうことである。たとえば駅周辺の商店街の場合、鉄道利用客の買物が期待できるという長所がある一方で、駐車場を通勤客に利用される可能性があることは、大きな短所である。通勤者は朝から晩まで駐車するので、その間、買物客が駐車できなってしまうからである。駐車を有料にすれば、長時間駐車を防ぐことは出来る。しかし、そうすると買物客も来なくなってしまう恐れがあるので、有料化は困難である。これが「悩ましい問題」である。

Pの下の標識が、駐車ディスクの必要性を示す。このような道路沿いの駐車ベイも標識で簡単に扱えるのが、この方式の長所である。(ドルトムント市西部、2002年撮影)
中のディスクを回して駐車開始時刻に合わせ、車のフロントガラスから見える位置に置く。上の場合は、午前6時、あるいは18時(午後6時)に駐車を開始したことを示す。このどちらかはわからないが、駐車は2時間程度しか許容されないので、ほとんど支障はない。(Wikipediaより)
 そこで、「駐車は無料だが、駐車できる時間を制限する」という方法が登場する。たとえばドイツでは、「駐車は2時間まで」と決め、節度ある駐車を求める例が多い。通例の買物は1時間もあれば十分で、複数の店をまわるとしても2時間を超えることはまず考えられないからである。その際に問題となるのが、この決まりを守らせる方法である。駐車場をしっかりフェンスで囲み、出入りにはゲートを通るようにすれば簡単に対処できるが、この方法にはかなり経費がかかる。しかも、道路沿いに点々と広がる駐車場などでは、フェンスで囲むのは無理である。

 ドイツでよく見かけられる「駐車ディスク」は、このような場合に威力を発揮する、優れた小物である。紙のディスクを回し、表示を駐車場に到着した時刻に合わせ、フロントガラスから見えるように置いて買物に出かけるという、いわば駐車開始時刻の自己申告方式である。他の人が見ても、駐車時間が規定内に収まっているかどうかが簡単にわかる。商店街に加え、買物客以外が駐車するのを避けたいスーパーも、同じ駐車ディスクの使用を求める例がある。

 この駐車ディスクは、店で1~2ユーロで売っているそうなので、1個買って車に備え付けておけば、どこででも使用できる。手作りもできるだろうが、注意が必要なのは、国の交通規則で大きさや色、形が決められていることである。

 数年前、ドルトムントの隣町に住むある夫が、店舗で、ピンク色のかわいい駐車ディスクを見つけた。買って妻にクリスマスプレゼントとして贈ったところ、妻も色が気に入って、町に出かけた際に使用した。ところが、駐車場を巡回する係員に罰金5ユーロを求められた。それを知った夫が、すぐにインターネットで駐車ディスクについて調べたところ、青色しか許されないことが規則で決まっていると知り、驚いたそうだ。それまでは、「駐車開始時刻がわかればいいのだろう」と思っていたそうである。

 さて、この駐車ディスク、日本ではまだ見かけたことがない。ハイテクが進んだ日本では、このようなローテクの出番はないのだろうか。しかし、状況によっては、商店街が苦労して確保した駐車場を長時間駐車からまもるための、安価な手法になるはずだ。長時間駐車に困っている商店街があったら、「駐車ディスク」の採用も検討してみてもらいたい。
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| 中心市街地や近隣供給 | 12:17 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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人、人、人で一杯のドルトムント都心商店街

 もうすぐクリスマス。この時期になると、通行量調査でベストテンの常連であるドルトムント都心商店街の西ヘル通りが買い物客で一杯になっている写真が、新聞に掲載される。しかし、けさ掲載されたドルトムント都心の写真はすごかった、例年にも増して「人、人、人・・・」で一杯なのだ。まずはその写真を紹介しよう。

12月21日(月曜日)正午頃のドルトムント西ヘル通り。(Ruhr Nachrichten紙より)

 驚いたのは、これが「月曜日の正午頃」の写真だという点である。ドイツでは日曜日は店舗が休みだが、クリスマス前の時期には、特別に店舗が開く日曜日がある。新聞に掲載される都心商店街の写真は、普通はこの「買い物日曜日」の写真である。だから、クリスマス休暇に入った会社が多いとはいえ、例年の買い物日曜日に見劣りしない多数の人が12月21日(月)の昼に町を歩いていたことは、すごいことである。新聞の説明によると、これらの人の多くは、クリスマスプレゼントを探すために来ているようである。現在、ドルトムントには、人口の1%強にあたる6千人以上の難民が生活しているそうなので、この写真にも数十人が写っていることだろう。

 写真の撮影場所は、店の看板を見ると、私が以前このブログで「ドルトムントの西ヘル通りが通行量でドイツ1位?」と紹介した写真とほぼ同じ位置であることがわかる。私もドルトムント都心を歩く時は大抵この場所を通るが、普段は私の写真程度か、すこし少ない程度である。もちろん、それでも日本の商店街と比較すると、はるかに人通りが多い。

 日本とドイツ、同じ先進国でありながら、都心商店街の人出は雲泥の差である。これは、ドイツが中心市街地の機能を維持する政策を実施しており、そのもとでドルトムントの行政と政治家が、都心のヘル通りを大切にしてきたことを示している。もちろん、都市によって差があることは以前の6都市比較で紹介した通りで、ドルトムントでは、都心の真ん中にショッピングセンターを誘致した効果が出てきているわけである。私には、この写真が、都市の活性化においてまちづくり政策としての観点がいかに重要かを雄弁に語っているように感じられるが、同感していただけるだろうか。

| 中心市街地や近隣供給 | 22:59 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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クラシック音楽はエッセン都心にたむろする若者対策

 ドイツでは、公衆の場で飲酒する光景を見ることがある。私も、ボーフム南部でLRTに乗ろうと停留所へ向かった際に、停留所のベンチで飲酒している数名の人と一緒になったことがある。電車について聞いたら説明してくれたので、飲酒しながら電車を待っているのだろうと思った。しかし、電車が来ても、乗ったのは私だけだった。その後、公衆の場における飲酒が問題とされていることを知り、「あの時の停留所の人たちも、そのひとつだったのかもしれない」と思い当たった。

エッセン中央駅前に立つホテル。クラシック音楽が流されている広場は、ホテルの右側にある。(飲酒が問題として報道されていなかった2006年の撮影)
 程度の差はあれ、どの都市にも飲酒する人々がたむろする場所があるようだ。エッセンの場合は、その場所が中央駅の正面、中心商店街への入口となっている広場である点が、少し異なる。わかりにくいが、右の写真の中央右に地下へ降りる階段があり、そのあたりが飲酒のたまり場になっているそうだ。私は何回もすぐそばを通っているが、そういう光景を見た記憶はない。その一因は、時刻にあると思う、この写真も10時33分の撮影である。

 さて、クラシック音楽が流されているのは、この中央駅前の広場に面したホテルの建物背後にある広場である。そこで問題となっているのは、飲酒光景というより、ディスコに繰り出す前に集まってたむろする若者による騒音で、もちろん飲酒も行われ、跡にはごみも放置され、小便の臭いもするという話しだ。数年前に改造が行われ、階段がたむろする格好の場となったので、周囲から、以前の姿に戻すように求める声が出されていた。

 これに対し、駅正面のホテル支配人が、対策を考える会議に提案したのが、「クラシック音楽を流す」方法である。22時までなら流しても法的な問題とならないということで、今年に入って準備が進められ、5月下旬に試行が開始された。新聞記者が通行人に聞いたところ、「音楽を流すのはいいが、若者を追い出す効果は期待できないだろう」という反応が多かった。ところが、半月ほどの経過を見ていたホテルによると、「かなり効果が上がっている」そうである。6月末の対策会議で当面のまとめが行われるらしいが、おそらく「試行継続」となるであろう。

| 中心市街地や近隣供給 | 15:34 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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ドルトムント中心市街地の人出は今年も全国で第4位

 昨年、ドルトムントの中心市街地「西ヘル通り」の通行量が、Jones Lang LaSalle社の調査でドイツで1位になったことを紹介した。今年の調査は3月29日(土)の13~14時に行われ、その結果は12,420人で、4位だった。1位と2位はケルン(シルダーガッセ14,590人、ホーエ通り12,795人)、3位はシュツットガルト(ケーニッヒ通り12,420人)である。西ヘル通りの約1万2千人という数字は、過去の調査から見て、順当なところだと思う。

 手許にある新聞記事によると、最も通行量が多いと思われる土曜日に関する過去の数字は、次のようになっている。
日 時通行量順位第1位は
2000年5月20日12~13時12,222人5位不明
2003年5月10日12~13時12,122人4位ケルン、14,850人
2004年6月4日12~13時11,145人5位ケルン、17,460人
2005年6月5日12~13時16,410人2位ケルン、17,760人
2006年5月13日12~13時12,150人6位ケルン、17,145人
2007年6月2日13~14時9,250人10位ケルン、14,265人
2008年5月17日13~14時8,920人9位ケルン、12,585人
2010年4月10日13~14時不明8位ケルン、13,280人
2011年4月16日13~14時9,905人9位ケルン、14,265人
2012年不明9,540人8位フランクフルト、13,120人
2013年4月27日13~14時12,950人1位ドルトムント、12,950人
2014年3月29日13~14時12,420人4位ケルン、14,590人

 この表から、ドルトムントの西ヘル通りは、ケルンには及ばないものの、トップテンの常連であることがわかる。ミュンヘン、ハンブルクという百万都市や、フランクフルト、シュツットガルトなど、大都市の中心市街地もトップテンの常連である。ドルトムントの場合は、50万人を超える人口を有している上、都心がコンパクトにまとまり、都心をぶらつく場合はほぼ常に「西ヘル通り」を通過する構成になっていることが、高い通行量を支えていると思われる。

 もう一つわかることは、ドイツでは、大型店を中心市街地に取り込み、大型店の力で集客力を維持し、向上させている都市が多いことである。ドルトムントの場合、2000年代後期に調査時刻が変更された後に1万人を割っているが、2011年9月に3万3千㎡の売場を有するティアギャラリーがオープンした後、通行量が持ち直している感じを受ける。フランクフルトが2012年に1位になっているが、ここでも2009年初めに5万㎡近い売場を有するマイ・ツァイルという都心型ショッピングセンターがオープンしている。大型店と専門商店街が互いに補い合っている、と言えるだろう。

 ルール6都市の中で通行量が少ないのが、オーバーハウゼン(1,305人)とミュルハイム(1,365人)である。両市に共通しているのは、郊外大型店の進出を認め、その影響で都心の大型店が閉店したことである。なお、デュイスブルクから20キロほど北にあるヴェーゼルは、人口は6万人と多くないが、中心市街地の歩行者空間整備後に人出が伸び、3,410人が数えられた。調査された170商店街の中では93位だが、人口10万人以下の都市に限ると第5位に食い込んでいる。機会があれば訪問してみたい都市である。

| 中心市街地や近隣供給 | 22:21 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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大学がボーフム市の都心に進出

 ボーフムの大学であるルール大学が、今月、都心に進出してきた。日本では、大学が中心部から郊外に移転するのが一般なので、これは全く逆の動きである。背景には、大学入学までに修了すべき学校の課程が1年短くなったことがあるが、同時に大学と市民を近づける試みが行われている点は興味深い。

 まずは背景の方から:ドイツでは、4年間の小学校を終えた段階で、大学進学を目ざす生徒はギムナジウム(一般に「高校」と訳される)に入学する。高校は9年生まであるのが普通なので、日本に比べて大学入学が1年遅くなる。他のヨーロッパ諸国と比べても1年長いので、職業生活に入る時期も遅くなる。そこで、ギムナジウムを8年制にして、他の国々と揃えようと計画された。ドイツでは教育制度は州が決めるので、8年制になる時期も州で異なる。以前から8年制であった2州を除き、残る州は2009年から2016年に9年制から8年制に移行する。その移行年には2年分の卒業生が大学へ進学するので、受け入れる大学は大変である。ルール地方を含むノルトライン・ヴェストファーレン州では、今年の2013年が、このダブル入学年である。

 実は、大学進学率の上昇を受け、すでに数年前から大学は学生であふれかえっている。講義室が不足し、とくに新入生が入学する10月がひどい。ドルトムントではテントで講義が行われ、エッセンでは映画館を借りる等、どの大学も苦労している。そして、ボーフム大学が目をつけたのが、都心の空きビルである。郊外に大規模なショッピングセンターがあるボーフムでは、日本の地方都市ほどではないが都心商店街は苦労しており、空店舗もある。大学の場合は主に2階以上を利用する点も、上階の活用に苦労している都心との相性がいい。

道路の左手に見える高い建物がシュタットバートギャラリー。前の道路は歩道が拡幅され、車道の通行を許されるのは公共交通に限られる。(2008年)
 こうして目をつけられた建物のひとつが、都心の中心商店街から200m程度離れたところに建つシュタットバートギャラリーという複合建築である。もともとここには市の室内プールがあったが、取り壊され、店舗やオフィスなどが入居し、地下にプールのある複合建築に建て替えられた。所有者は民間の会社で、数年前にフィットネススタジオが転出し、その跡などが広く空いていた。そこで、大学は5層分について賃貸契約を行って入居し、下階に入居していた文房具店、衣料品店やレストランはそのまま営業を継続している。

 この他にも、中心商店街に建ち、1階に宝飾店が入居しているビルの上階も借りている。そこは、大学と市民を結ぶ場として計画され、「ブルー・スクエア」という名称がつけられている。とくに2階では、市民と大学を結ぶ目的で展示が行われており、現在は「香り」がテーマとなっている。

 現在、ボーフム大学の学生数は4万人強だが、そのほぼ1割が都心で学ぶ予定である。人数が多いので、都心商業にどのような影響が出てくるのか、今後の動きに関心が寄せられている。

| 中心市街地や近隣供給 | 20:56 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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