2010年10月 | ARCHIVE-SELECT | 2010年12月

| PAGE-SELECT |

≫ EDIT

デュイスブルク南部で教会の取り壊し

デュイスブルク市の南部で、カトリック教会の取り壊しが始まったという記事があったので、場所を調べたところ、半年前にデュイスブルクを訪問した時にそばを通った教会で、写真もあるということがわかった。「住宅地の空地に10戸の住宅を新設するプランが決定され、その建設を止めようと周辺住民が提訴したが退けられた」という情報に興味を感じ、現地を見に行く途中に撮影した写真である。これまで、教会を取り壊すという情報はいくつか見たように思うが、自分が写真を撮影している教会が取り壊されるという記事は、初めてである。

Heilig-Geist
静かに取り壊しを待つハイリッヒ・ガイスト教会(2010年)
右の写真は、ただ「あ、素敵な教会だ」と思って撮影しただけである。しかし、取り壊しの記事を見た後に調べてみると、教会の閉鎖が決定したことが2007年に信者に知らされ、最後のミサは2008年2月に行われていた。最後のミサは教会が建築されてから48年後だった、ということである。

2007年の記事によると、教会を取り壊すのではなく、内部を改造して「多世代の住居」にすることが計画されていた。「多世代の住居」とは、入居希望者を募り、その人たちの要望に合わせて多様な規模と間取りの住居を設置するもので、最近各地で取り組まれている。日本で言うと、コーポラティブ住宅に近い存在だ。このケースは、教会の建物を生かし、その屋根の下に造るという面白いアイデアだったが、実現には困難が伴う。結局、必要な希望者を集めることができず、建物を取り壊すことになった。

教会がなくなって最も困るのは、ここを活動場所にしていたボーイスカウト少年団だったそうである。近くに適当な施設を確保できなかったので、緊急策として、少し離れた教会を使わせてもらうことになったが、距離が遠くなるので、6~7歳の団員は来なくなるのではないか、と心配されている。取り壊される教会の工事用フェンスには、少年団のメンバーが書いたと思われる、「ここに我々の教会が死ぬ」と書かれた横断幕がかけられていたそうである。

私が教会に興味を持っているのは、人口減少時代を最も良く示す面があるからである。デュイスブルクの人口は、合併で現市域になった1975年の59万人が最大で、すでに49万人にまで減少している。人口は合併前からすでに減少していた(1961年がピーク)ので、おそらく最盛期の3/4程度にはなっているだろう。この人口は、外国からの人口流入の恩恵を受けていて、生粋のドイツ人は、さらに大幅に減少している(デュイスブルクの現在の外国人比率は、15%とされている)。そして、そのドイツ人減少の影響をそのまま受けているのが、教会である。各地で教会財政が悪化し、支出の削減や、資産の処分に取り組まれている。同じデュイスブルクには、暖房費用がかさむ冬季のミサを、2つのプロテスタント教会が合同で行っている例もある。その一方で、市内には数ヶ所にモスクが設置されており、市北部では、2008年にドイツ最大のモスクが完成している。

ハイリッヒ・ガイスト教会の取り壊し後についての記事はないが、おそらく用地が売却され、住宅などが建設されることになるのであろう。それで人口の減少が少し緩和されるといいのだが、おそらく「焼け石に水」なのではないだろうか。
スポンサーサイト

| 人口減少や住宅 | 21:56 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

≫ EDIT

ケチャップ事件:ラブパレード惨事で市長への怒りが続く

7月末にデュイスブルクで開催されたラブパレードにおいて、会場入口に多数の人々が滞留し、21名が圧死し、500名以上が負傷したことは記憶にまだ新しい。事件からすでに100日以上が経過したが、捜査は難航し、責任の所在はまだ明確になっていない。デュイスブルク市長に政治的責任がある点では衆目が一致しているが、市長は責任を認めず、自発的退陣を拒否している。

このような状況を市民がどう見ているのか、その一端を示す事件が11月10日に起きた。今月に入り、市長は各地の公式行事にも出席するようになった。第1週には、市北部ハンボルンのマルクト広場整備のお披露目が、そして第2週の10日は市西部ラインハウゼンのマルクト広場のお披露目があった。いずれも、連邦政府による景気対策の建設事業予算で行われたものである。この予算は、財政が厳しいルール地方にとってはとても有難いもので、以前からの懸案事項に手がつけられている。

先週のハンボルンでは、約150名ほどがマルクトのオープン行事に集まった。うち10~20名はラブパレード事件の責任をとろうとしない市長に抗議するために来た者で、笛を吹き、市長挨拶を妨害した。そして、10日のラインハウゼンでは、集まったメンバーの一人が、市長の顔にべっとりとケチャップをかける事件が起きた。

ケチャップをかけたのは、慈善事業を行っている公益団体の代表で、市内ではかなり知られた人で、市長退陣を強く求めていた。彼は、逮捕を覚悟し、飼っている犬を預け、弁護士に連絡した後、ケチャップ攻撃を行っている。しかし、市長が告発を見送ったため、名前を聞かれただけで、取り調べは行われていない。市長が告発を見送ったのは、市民を不必要に公の手に委ねたくないから、という話しだ。

新聞は、ケチャップ攻撃に対して告発を見送った市長の行為に注目し、ラブパレード事件の傷は深く、市民の市長への怒りが鎮まっていないと書いている。もちろん、責任を明確にしない市長の行為は問題だが、だからといってケチャップをかけていいことにはならない。市長に対立する政党のメンバーも、平和な抗議の枠からはみ出す「ケチャップ攻撃」を非難している。なお、ケチャップが選ばれたのは、市長に怪我を負わせる心配がないから、ということではある。

遠い日本から見ていても、財政難に苦しみ、だからこそ浮揚のきっかけにしようとラブパレード開催にこだわったデュイスブルク市が、こんなに内部でゴタゴタしていて大丈夫なんだろうかと、心配になってしまう。ノルトライン・ヴェストファーレン州の市長の任期は5年で、あと4年も残っているのに・・・。

| 町の話題いろいろ | 14:55 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

| PAGE-SELECT |