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バスや電車が10分以上遅れたら料金を返却

VRR(ルール・ライン交通連合)で、公営交通企業への信頼を高め、顧客の満足度を向上させる一環として、遅れた場合に料金を一部返却するサービスが広がっている。なお、ドイツでは、複数の都市が協力して交通連合をつくり、切符一枚でどの会社の電車やバスにも乗れるシステムが普通で、VRRは東はドルトムントから、西はメンヘングラードバハあたりまでの約100キロ、南北方向も50キロ以上に及ぶ広い地域を対象とした連合で、州都デュッセルドルフも含んでいる。

このVRRで初めて試みを開始したのは、デュイスブルクの南西に隣接する都市、クレフェルトである。クレフェルトは、2006年トリノオリンピックの女子フィギュアスケートで金メダルを獲得した荒川静香選手が得意とした「イナバウアー」の創始者、Ina Bauer 選手の故郷である。そのクレフェルトは2008年に社会実験として返却に取り組み、その後も継続的に実施している。

クレフェルトに隣接するデュイスブルクは、2009年8月から3ヶ月間の社会実験に取り組んだ。目標は「10分以上の遅れをなくすこと」で、10分以上遅れた場合、顧客は日時と路線、切符に身分証明書を添え、3日以内に交通会社に返金の申請を行える。遅れが確認されたら、市内交通料金に相当する金額(当時は大人2.3、子ども1.3ユーロ)が返却される。試行期間中に約550件の申請が行われ、そのかなりの部分が返金になったそうだ。件数が多かったのは、工事のために迂回が必要になった路線だった、という話しである。なお、ドイツでは個別切符利用者は少数で、定期利用が多い(背景には、利用しやすいシステムがある)が、その場合は1ヶ月で最高23ユーロまでの返金が可能、ということである。なお、この冬は雪が多く、交通が混乱したが、大雪やストライキなど、不可抗力とも言えるような事情のある場合は、返金の対象とはならない。

そして、この5月から、ルール地方東部のドルトムントやボーフムも、この返金システムに参加する。方式はほぼデュイスブルクと同じで、ドルトムント交通会社は、クレフェルトとデュイスブルクの経験から、「返金総額は年間1万ユーロ以下だろう」と予測している。

ドイツの交通機関は、日本から見ると「融通がきかない」と言われることが多く、たしかに私にもいくつか思いあたる点がある。しかし、充実した交通網と、運行回数の多さでは、日本よりはるかに優れている。ひょっとすると、この制度の効果で、サービス面の評価でも関係が逆転するかもしれない。公共交通の面で、日本がドイツから学ぶべき点が、ますます増加していきそうな気配である。
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| 公共交通 | 14:58 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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