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ドイツの救助隊3つのそれぞれの事情

今回の地震被害に関係し、ルール地方の新聞を観察していて発見した部分を紹介したが、実はドイツからもうひとつ救助隊が来ていた。指摘を受けたので、「ルール地方よもやま通信」が対象とする範囲を越えるようだが、わかったことを紹介したい。

3月16日に「ドイツ救援隊にデュイスブルク隣接市の4人も参加」を書いた後、活動せずに帰国した救助隊があるという情報が流れているのを知ったが、詳しい事情を確認できなかった。ようやく16日付の読売新聞で、そのような事実を確認できたが、掲載されていた5名の救援チーム「フメディカ」の綴りがわからなかったため、ドイツ側の情報を見つけられなかった。今日になり、あるブログのおかげで"Humedica"であることがわかり、調べたところ、事情が判明した。この団体は、医者や薬剤師等で構成される医療ボランティアの救援団体である。日本に到着した頃には、原子力発電所で「爆発」があったというニュースが世界中に流れていた。それで、本部から帰国を指示され、持参した医薬品を被災地へと託し、帰国したそうだ。

"Humedica"のホームページにある、事務局長ヴォルフガング・グロース氏の説明によると、とにかく「原発の爆発」でチェルノブイリのような状況をイメージし、民間ボランティア団体という性格から、メンバーに対し、そのような危険な地域へ行くことを求めることはできないと判断したようだ。ドイツにいる日本人から聞いたところでも、今回の地震報道は「津波と原発」に偏っていて、日本の状況がよくわからないそうだ。マスコミには、「平常と違うことを探し、それを報道する」傾向がある。外国で起きた事件の報道では、その傾向がさらに強くなるのは、やむを得ないことかもしれない。

今回の地震に関するドイツ救助隊3つの動きは、それぞれ非常に異なるものとなった。まず政府が派遣した連邦技術支援庁(THW)の救助チームは、41名と犬3匹で来て、予定通り任務を終了させ、帰国した。また、民間団体で、国連に認められたドイツ唯一の国際救援団体であるI.S.A.R.は、日本政府から国連への救援依頼が行われなかったため、先遣隊が帰国を決断せざるを得なかった。そして、民間の医療チームHumedicaは、原発の爆発に驚いた本部の指示で、同じく現地に行かないまま帰国した。3団体が大きく異なる動きをするという、珍しい結果になったわけだ。

このような結果は、国を越える意思疎通がむずかしいことを示しているように思う。なお、このブログ「ルール地方よもやま通信」は、微力ながら相互理解の改善を目ざしているものである。
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| ドイツと日本と | 21:45 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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ドルトムントで原発に反対して日本を思う人間の鎖

3月18日(金曜)の夜6時半から、ドルトムント中心部で、原発に反対し、日本と連帯するための集会が行われた。ローソクを持って約1500人の市民が集まり、「人間の鎖」がつくられた。報道写真を見ると、日の丸を持って来た人もいることがわかる。もちろん、被害者のための募金活動も行われている。

この集会の中心となったのは、SPD(ドイツ社会民主党)、緑の党、グリーンピース、プロテスタント教会と、労働組合である。中心は原子力反対にあり、「原子力を切れ」という声がこだました。その記事のなかで印象的だったのが、教会代表による「自然は我々を必要としていないが、我々は自然を必要とする。制御できない技術からの脱却を要求する」という言葉だ。

当日の朝9時半には、ドルトムント市長ジーラウ(SPD)が、市職員に対して黙祷に参加するように呼びかけ、「私も、日本の人々が体験し、苦しまねばならない三重苦(地震、津波と原発のこと)には言葉がない」と挨拶した。もともとドルトムントでは、多数の団体が共同し、原子力に対するアピールを発表していたそうである。そこには、このように書かれている:「スリーマイル島、チェルノブイリ、そして西ヨーロッパを含む多数の事故にもかかわらず、圧力団体の幻惑と学習の不足により、必要な結論が導かれていない。すでに今日、原子力に代わる方法がますます増加していることを考えると、これは無責任である。」

さらに、19日(土曜)にはグリーンピースが原子力に関する説明会を行い、21日(月曜)にも緑の党が中心となった集まりが予定されている。また、日本への弔意を表す記帳も行われており、ドイツ全体でまとめ、日本大使館に手渡されることとなっている。

え、「中間に当たる20日(日曜)には何も予定されていないの」、て? その日に予定があるのかないのかが、日本とドイツの違いなのかも知れない。近年はかなり状況が変化しているとはいえ、ドイツでは日曜日は安息日で、教会を訪問し、家族と一緒に過ごすことがたてまえになっている。

| ドイツと日本と | 11:55 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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ドイツ救援隊にデュイスブルク隣接市の4人も参加

2日前に紹介した、救援のために日本まで来ながら引きあげざるを得なかったISARのことが気になってニュースを検索していたら、デュイスブルクの北西に位置するメルス(Moers、「モエルス、メールス」とも書く)の人が、ドイツ政府派遣の救援隊(THW)に参加していると報道している記事を見つけた。メルスは人口が約10万人の小都市で、デュイスブルクに隣接していて、私は「あと500メートルでメルス」という場所に行ったことがある。デュイスブルクの炭坑住宅跡地に建つ20階建て高層住宅を見るためで、その高層住宅は、安全上の問題で一部がまるで廃墟のようになっていた。

さて、41名で編成されたドイツの救援隊THWには、このメルスの方が4名含まれている。いずれも、外国救援のために迅速に出動するための州の組織であるSebaのメンバーである。ほとんどの任務は5~10日間で終わるそうで、外国に出かける度に新たな状況に出会い、経験を積んでいる、ということである。新聞社による家族へのインタビューは成功しなかったようで、この期間は家族にとってどうしてもストレスとなるためではないか、と説明されている。「救援」は「危険」と紙一重の作業になる部分が出てくるので、ご家族が不安に思うとしても、それは当然のことだろう。

その記事は、ISARの撤退が「苦汁の決断」だったことにも触れている。「日本に到着して24時間経過しても、国連への正式な救援要請がなかった」ということなので、ISARは国連の下で動いている模様である。「外国からの救援は、当該国の要請がなければ動けない」、これが国際的なルールなので、仕方がないのだろう。救援活動は一刻を争うので、ISARがフライングを行ったことは、その熱意の現れである。NPO組織が法的に認知されてからまだ日が浅い日本では、このようなグループが活躍していることは知られていないのだろうが、次からは是非NPOにも救援活動の機会を与えてほしいと希望する。

| ドイツと日本と | 22:34 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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デュイスブルクからの救援隊が何もできず帰国へ

3月11日に起きた東北地方太平洋沖地震は、ドイツでもいろいろ報道されている。ドルトムントでは、サッカークラブ「ボルシア・ドルトムント」のスター選手である「香川は無事」というニュースが流れた。また、10名の日本人が働いているオーバーハウゼンのフリーデンスドルフ(戦争で困っている子どもを救助し、治療も行うNPO組織)も、援助を検討しているそうだ。しかし、同時に少し残念なニュースもあった。それは、デュイスブルクにある国際救援組織ISARドイツが、何もできないので帰国するという内容である。

ISARは、自然災害に対する国際的な救援組織で、寄付によってボランティアで運営され、国連にも認知されている。パキスタン(2005年)、ペルー(2007年)、インドネシア(2009年)、ハイチ(2010年)などで活躍し、表彰も受けている。今回の地震に対しても反応が早く、状況を調べ、どのようなメンバーを送るべきかを決定するため、地震翌日の12日に、3名の先遣隊が到着した。しかし、その後2日目に入っても日本政府から救助の要請がなかったため、帰国を決定したそうだ。その記事によると、日本に受け入れられたのは、アメリカ、ニュージーランド、オーストラリア、韓国などである。

日本で地震報道に接していた私は、ドイツからの救援を受け入れられるのか、少し不安を感じていた。地震の救援は、普通、壊れた建物から生存者を救出することが中心になるが、今回の地震は津波災害が主体で、ヘリコプターが救援の中心になっているからである。このドイツの新聞記事にはコメントを書くことができ、すでに10名以上が書き込んでいる。私もこれから、このような事情を説明するため、書き込みたいと思っている。


この件についてその後(15日まで)にわかったことを、以下に紹介します。

  • ISARは、津波による被害についても一定のノウハウを有している。今回は、日本政府と事前の意思疎通を行わないまま、先遣隊が日本に来たのがまずかったようだ。

  • これとは別に、ドイツ政府が関与した救援隊が組織された。3月13日夜の時事通信報道によると、ドイツから43人と犬3匹で日本に到着し、1万人が行方不明とされている南三陸町へ向かった。

  • 以上のこと(日本のホームページにISARについて紹介したことを含め)に関し、ドイツの新聞記事にコメントとして記入した。


| ドイツと日本と | 14:17 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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