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ドルトムントに都心型ショッピングセンター - 6都市比較

 日本で数年前に大きく騒がれていた「中心市街地活性化」、最近はあまりこの言葉が聞かれなくなった。しかし、それは決して「問題が解決した」からではない。では、よもやま通信6都市はどうなのだろうか。

 6都市の商業状況の観察を開始してからすでに10年以上が経過し、最近は各都市の個性もわかってきた。市町村が都市計画の権限を有しているドイツでは、都市によってまちづくりの状況がかなり異なる。そして、これまで大型ショッピングセンターがなかったドルトムントに、この9月15日に、「ティアギャラリー」という売場面積3万3千m2の都心型ショッピングセンターがオープンした。これで、6都市の全てに大型ショッピングセンターが揃ったわけである。

 そこで、この機会に6都市を比較し、私の独断で各都市の商業まちづくり政策を評価してみたい。

都市最大規模の店舗商業の状況
ドルト
 ムント

58万人
ティアギャラリー
都心型、2011年
売場33,000m2、160店
有料駐車場730台
ビール工場跡地
中心商店街である西ヘル通りの通行量は、土曜日昼の1時間に1万人近くで、国内10位以内。そこに誕生したティアギャラリーが、都心商店街と共存できるかどうか、これが今後最大の注目点である。
ボーフム

37万人
ルールパーク
郊外型、1964年
全126,000m2、140店
無料駐車場7,500台
農地に新設
アウトバーンのインターチェンジそばにあるルールパークは目下リニューアル中で、ティアギャラリー対策でもあると思われる。市は都心の活性化にも力を入れており、旧都心デパートが電機店として再生されたのはその成果である。
エッセン

57万人
リンベッカー広場
都心型、2009年
売場70,000m2、200店
有料駐車場2,000台
デパートと店舗跡
都心には約900m離れた南北の両端にデパートがあり、中央から南側が栄えていた。ところが北側のデパートが巨大ショッピングセンターに変わり、人通りがかなり変化し、北にシフトしてきている。
ミュル
 ハイム

17万人
ラインルールセンター
郊外型、1973年
全70,000m2、140店
無料駐車場5,500台
炭坑跡地
エッセンとの境界にあるショッピングセンターに加え、市北部にも郊外型商業集積がつくられ、さらに各地に多数のディスカウント店がある。このためか、都心への多額のテコ入れもほとんど効果がなく、都心デパートも2010年に閉店し、後の商業利用はまだ見通しが立たない。×
オーバー
ハウゼン

21万人
ツェントロ
郊外型、1996年
売場70,000m2、200店
無料駐車場10,500台
製鉄所跡地
ツェントロはドイツ初の買物とレジャーを結合した新都心の中心である。現在、初の拡張工事を行っており、周辺への影響が懸念される。都心に残されていた唯一のデパートも、2012年に閉店することが発表された。×
デュイス
 ブルク

49万人
フォーラム
都心型、2008年
売場57,000m2、90店
有料駐車場1,200台
デパートとオフィス跡
「駅の貨物駅跡地か、それとも現デパートの場所か」が争われ、最終段階で、オーバーハウゼンのような都心衰退を恐れる議員が市議会の過半数となり、デパートが選ばれた。現在、市北部にアウトレット店の計画があり、商業界の反対を無視して強引に進められようとしてる。

 ドルトムントに◎をつけたのは、都市規模の割に大型ショッピングセンターの規模が33,000m2(新規分はうち27,500m2)と小振りで、駐車場も有料で台数も少なく、既存商店街との親和性がそれだけ高いと考えられるからである。そしてもうひとつ、住民、とくに高齢者の買い物の便を考え、市内各地に総合食料品店を維持、あるいは展開することを「まちづくり」の重要なポイントとしていることで、すでに各地で効果が現れ始めている。

 では、日本の都市はどう評価したらいいのだろうか。これも都市によって様々だが、×を2つつけないといけないかもしれない。というのは、×をつけたミュルハイムもオーバーハウゼンも、上に示した郊外型大型店には地下鉄かLRTという鉄道アクセスが可能で、車を利用しない人でも気軽に出かけられるからである。この点では、バスによるアクセスしかないボーフムが問題かもしれない。
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| 中心市街地や近隣供給 | 17:51 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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白熱電球を買いだめる市民 - EUで販売禁止に

 エッセンで、「白熱電球を購入できなくなると市民が嘆き、買いだめしている」、という話題が報道されていた。地球温暖化防止の観点から、白熱電球の使用を減らし、蛍光灯などに転換することが世界的な動きになっている。日本でも数年前に経済産業省がメーカーに製造禁止を働きかけたが、販売禁止までは行われていない。

 ドイツの事情を調べた結果、EUによって2009年9月から段階的に実施されていることと、「白熱電球の禁止」ではなく、「電球に対するエネルギー効率クラス C 以上の義務づけ」であることがわかった。既存の白熱電球のエネルギー効率は、クラス E になるそうである。実施は4段階で行われ、この9月1日から実施されたのは、第3段階である。

  • 第1段階(2009年9月):100ワット以上の電球にエネルギー効率クラスCを義務づける。
  • 第2段階(2010年9月):75ワット以上の電球にエネルギー効率クラスCを義務づける。
  • 第3段階(2011年9月):60ワット以上の電球にエネルギー効率クラスCを義務づける。
  • 第4段階(2012年9月):全ての電球にエネルギー効率クラスCを義務づける。
 白熱電球は60ワット前後のものが多いので、市民生活への影響は、今回の第3段階が一番大きいはずである。

 では、今後どうすればいいのか。「3つの方法がある」と報道されている。ひとつは省エネランプ、次がLED、そして最後がハロゲンランプである。省エネランプは、日本で「電球型蛍光灯」と呼ばれているもので、数年前からもてはやされている。気になるのが、トイレのような点滅が多い場所では寿命が短くなることだが、この点についての報道はなぜか見出せない。蛍光灯に水銀が含まれていることは問題として報道されているので、不思議である。LEDは、日本と同じくまだ高価である。ハロゲンランプはワット数が高いものが主体で、あまり家庭向けではない上、省エネ効果も大きくない。

 もうひとつわかったことは、「白熱電球」だけでなく、その他の家庭用電器機器などについてもEUで検討が進められている点だ。プラスチックの買い物袋、コーヒーメーカー、コンピュータのスタンバイ機能、そして電気掃除機なども、規制が検討されている。日本で問題とされるエアコンが見あたらないのは、家庭に普及していない(なくてもほぼ快適に生活できる)からであろう。

 もちろん、これらの規制については、「EUの官僚主義だ」という批判がある。また、「炭素税や電気料金システムによる間接的・包括的な電気使用抑制の方が良い」という考えもあるだろう。いずれにせよ、これまでは新しい家庭電化製品を生み出し、販売することが「良いこと」とされてきたが、価値観の転換が求められる時代になったのは確かである。9月に入り、日本の「節電」は一段落したが、原発の扱いも、この問題と一緒に考えていくことが必要だろう。

| エネルギー・地球環境 | 16:30 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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