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不発弾処理報道に見る日独マスコミの報道姿勢

 昼のNHK全国ニュースが、「港区のオフィス街を封鎖して不発弾処理」を行ったと報道していた。「やはり日本でも不発弾が見つかって処理することがあるのか」と思って聞いていると、「都内では毎年平均で70発前後の不発弾が見つかっていますが、港区で見つかったのは昭和53年以来だということです」と説明が続いた。珍しく「港区」の、しかもオフィス街で発見されたから、全国ニュースで報道されたようだ。これまで日本で不発弾のニュースに接したことはあまりないので、年70件のうち、残りの69件は、東京のローカルニュースでもほとんど報道されていないのではないのだろうか。

 一方、ルール地方では、ほぼ毎週のように不発弾のニュースが流れる。この1週間でも、17日にボーフムで不発弾処理のニュースが流れた。250キロ爆弾が発見され、1600人が避難して処理を待ったそうだ。もちろん、処理はうまくいった。ノルトライン・ヴェストファーレン州全体で、昨年1年間に計862件の不発弾処理が行われており、うち11件がエッセン、10件がドルトムントである。

 今年夏のドイツ旅行中には、不発弾を爆発処理したところ、予想より爆発力が強く、周辺の建物に被害が生じたというニュースが流れていた、たしかミュンヘンあたりだったと思う。建物に被害が生じたら日本でも報道されるだろうが、大半の不発弾処理はニュースにならないのが日本の実態であろう。

 似た例は他にもある。以前から、交通事故につき、「ドイツで報道されることが、日本ではめったに報道されない」ことが気になっていた。ドイツでは、死亡事故の場合はほぼ確実に新聞記事となり、負傷事故でも報道される例がある。ドイツの新聞が地域別・都市別になっている影響もあるだろうが、マスコミの報道姿勢に違いがあるように感じられる。交通事故死は、周囲の家族等にはとても重大な出来事だが、日本のマスコミには日常的な出来事になってしまっているのだろうか。

 日本のマスコミ報道は、日本人の意識を反映しているのかも知れないが、やはり「交通死亡事故」には麻痺してもらいたくないものである。交通事故報道の少なさが交通安全対策にも影響しているのではないかと、不安に思うこの頃である。
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| ドイツと日本と | 12:51 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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どうなるのか、ミュルハイムの路面電車一部廃止の争い

 2年近く前から、ミュルハイムを舞台に、路面電車の存続を巡る争いが続いている。争っているのは、市財政の赤字に苦しみ、路面電車運営の負担を減らしたいミュルハイム市と、その監督官庁であるデュッセルドルフの州管区政府で、背後には州政府がある。面白いことに、ミュルハイム市長ミューレンフェルトも、州首相クラフトも、SPD(ドイツ社会民主党)に所属する女性で、しかもクラフトはミュルハイム市の出身である。だからといって、州と市が妥協する気配はない。

 多くのドイツ都市と同じく、ミュルハイムの電車とバスは市の子会社が経営しており、赤字を市の税金で補填している。市財政の悪化で節約を迫られているミュルハイム市は、採算が悪い路面電車の一部区間を廃止し、バスに代えようと考えた。市議会はこの方針を認めたが、問題は認可権を有し、これまで路面電車の整備に補助金を提供してきた州である。補助金による整備からまだあまり期間が経過していない区間があるので、市は補助金返還が少なくなるように路線の廃止区間を定めようと工夫し、市議会も州の出方を伺っていた。しかし、この返還問題が本格的に争われる前に、路面電車の軌道補修問題が焦点に浮上してきた。

 私はドイツ各地の路面電車に乗っているが、ミュルハイムの路面電車は車両更新が遅れており、市民の評判も良くない。これは、過去において投資を節約してきた結果である。そして、ミュルハイム市が廃止を検討していた空港支線では、路線の補修が放置されていた結果、安全のためスピードを落として運行され、最近では時速10キロの徐行運転が行われていた。そして、今年の4月初めに、検査の結果「これ以上安全を保証できない」と、突然運行が停止された。当初は停止は一時的と説明されていたが、補修予算がないため、1ヶ月後に、停止していた約1.5キロ区間の廃止が決定された。

 市は、補修を求める州管区政府を廃止決定でかわすことができると考えていた模様である。しかし、それは甘かった。8月末に、州管区政府は停止区間の電車を運行するように命令した。これに対し、市は区間の廃止申請で抵抗しているが、州管区政府が廃止を認める兆しはない。そして、市が補修を行わないなら、州が補修を依頼し、かかった費用を市に請求する準備を行っているとコメントしている。

 州管区政府の厳しい態度の背後には、「1980年代以降、縮小から拡大に転じたドイツの路面電車(LRT)を、再び縮小へ向かうきっかけを認めるわけにはいかない」、という決意があるのだろうと推測されている。ミュルハイムを監督するデュッセルドルフ州管区政府の長官は、公共交通を重視する「緑の党」の所属である。一方のミュルハイムは、財政赤字削減のためにカットできる予算を全てカットする姿勢で臨んでおり、利用者数の割に費用がかかる補修を行うつもりはない。そして、財政健全化の監督と行うのも、州管区政府である。それでも、州管区政府は、路面電車存続を求める手綱を緩める気配はない。最終的にどのような結末になるのか、長い目で観察し続ける必要がありそうだ。

| 公共交通 | 15:05 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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