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アウトバーン逆走で悲惨な事故 - 6名死亡、5名負傷

 高速道路の逆走は重大な事故が生じやすく、日本でも恐れられているが、アウトバーンのネットワークが国土に張りめぐらされているドイツも同じ、いやそれ以上である。そして、11月18日に南ドイツのオッフェンブルク近郊にあるアウトバーン5号線では、逆走によって6名が死亡する大事故が生じ、全ドイツを恐怖に陥れた。もちろん、数百キロ離れたルール地方でも大きく報道されている。

 事故が起きたのは、11月18日(日曜)の朝6時頃である。20歳の若者が運転する車がアウトバーンを逆走し、南へ向かう相乗りタクシーのミニバンと正面衝突し、若者と、ミニバンに乗っていた5名全員が死亡した。ミニバンを運転していたのは30歳の男性で、同乗していて死亡したのは女性2名(23歳と36歳)と男性2名(26歳と27歳)である。また、事故を発見して救助を試みた37歳の女性が車にはねられ重傷で、さらに4名が軽傷を負った。事故が生じた頃は、霧のために見通しがあまり良くなかった模様である。警察は自殺の可能性も考えて若者の周辺を調べたが、自殺を思わせる状況は見出せなかった。

 事故がルール地方で注目を集めた背景には、その4週間前に生じた逆走事故がある。10月20日(土曜)にドルトムントでサッカーを観戦していた24歳の若者が、翌10月21日(日曜)の午前2時前に、ドルトムントの東約60キロのアウトバーン46号線を逆走し、4名が乗車した車と正面衝突して、5名全員が死亡した。若者は逆走の直前にインターネットのSNSで、家族へ向けて別れのメッセージを送っており、自殺である。自殺に巻き込まれて死亡したのは、40代の夫婦と、20代と30代の女性であった。いずれ劣らぬ悲惨な事故である。もちろん、逆走による死亡事故は、この2件以外にも各地で生じている。

オーストリアで使用中の逆走警告標識(dpadより)
 「逆走」というと、日本では高齢者がイメージされる傾向がある。もちろん、ドイツでも高齢者の逆走があるが、上の2つの事故は、いずれも若者が引き起こしている。アウトバーンはインターチェンジが多く、無料なので簡単に入り込める。逆走が原因となって短い期間に2件の重大事故が起きた状況を受け、現在、ドイツでは「逆走を防ぐために標識を設置しよう」という議論が行われている。写真に示したのはオーストリアで使用されている標識で、現在、ドイツでもアウトバーンの一部区間で効果がテストされている。この種の標識は、先週の事故には少しは効果があるだろうが、先月の自殺巻き添え事故には無力である・・・。 
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| アウトバーンや交通規制 | 14:50 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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再生可能エネルギーが伸びた結果、電気料金値上げへ

 今月に入り、ドイツ各地で「電気料金値上げ」の情報が流れている。たとえばドルトムントでは、1ヵ月ほど前に電気料金がかなり値上がりそうだという情報が流れ、10日ほど前に「値上げ幅は10~15%」と予想が示された。これほど大幅な値上げは過去にないもので、劇的なものだそうである。

 もともと、ドイツでは1月1日に様々な料金が値上げされており、市の財政が厳しいルール地方では、いろいろな公共料金が値上がりとなる。来年の2013年1月1日からは、これらに電気料金の値上げが追加されるわけで、家計は大変である。電気料金の値上げ幅は、年に3500キロワット時を消費する平均的な世帯で年間130€強(日本円で1万数千円)と見積もられている。

 値上げの最大の原因は、再生可能エネルギー法(EEG)による再生可能エネルギーへの固定価格買い取り制度である。原子力発電に代わる再生可能エネルギーを普及促進させるために登場した制度だが、福島第一原発の事故以来、建設に推進力が加わった。再生可能エネルギーの原価はそれまでの一般的な電力より高くなるので、普及のため、より高い、採算が可能な価格を保証している制度である。この結果、電力料金にEEG負担金が課せられる。

 負担金の額は、当初はキロワット時あたり1セント程度だったが、2010年に2セント、2011年には3セント程度に増加した。そして、2013年度は急激に値上がり、5~6セントになると見積もられている。各市の電力供給業者では、内部ではとても処理できないので、利用者に転嫁せざるを得ないという。ドルトムント市の電力供給子会社DEWのブリンクマン社長は、この点を「政治が我々に、社会全体の任務であるエネルギー転換の代金回収会社としての役割を追加した」と述べているが、言い得て妙な表現である。

 日本は、ドイツの制度をモデルに、この7月から固定価格買い取り制度を導入した。ヨーロッパで最も電気料金が高いドイツで、EEG負担金でさらに値上がり続いている事態を、どう考えればいいのだろうか。もちろん、日本でも電気料金が値上げになるという話しはあった。ドイツでより恐れられているのは、電気料金の負担を嫌い、企業が国外に流出していくことだそうである。日本でも、現在行われている衆議院選挙で、これらの点を議論してほしいものである。

| エネルギー・地球環境 | 13:28 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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州警察がエッセン市に敗れる - 貨物駅跡地をめぐって

 日本で国、都道府県、市町村と三段階になっている行政機関同士が異なる意見を有し、紛争となった場合、どこの意見が通るだろうか。おそらく市町村より都道府県、都道府県より国の方が強いのではないだろうか。エッセン市では、旧貨物駅の利用を巡り、ドイツでも類を見ないと言われる州警察とエッセン市の対立があった。そして、エッセン市が有するまちづくり権限の前に、州警察も最終的に敗北した。そこで、紛争のポイントを紹介したい。

 エッセン市の南部には、州警察の施設が三箇所に分かれて立地している。市街地にある警察署、高速道路の南にある警察学校、そして市南部の離れた場所にある百名部隊である。三箇所に分かれてるのは不便で経費もかかるため、7年前から統合できる場所が探された。市民の安全をまもるという警察の任務から考え、統合場所は市街地に求められた。

 当初は運送会社跡地が候補とされ、設計が進められたが、狭すぎることが分かった。そして、2009年の秋に、「用地が見つかった」と報道が行われた。それが貨物駅跡地である。エッセン駅から南に2キロ少し離れた市街地で、ここなら市民に近く、三施設を統合できる。土地を所有している不動産会社との交渉も順調に進みつつある、と報道された。

 しかし、その土地の一部は、エッセン市が、メッセ(博覧会場)の貨物輸送用地兼駐車場として借りていた。近年、メッセの大型化が進み、エッセン市はメッセを改造して大規模にすることを計画していた。メッセが新しくなっても、輸送が円滑に進まなければ利用しにくい。メッセを都市発展の起爆剤のひとつと見るエッセン市側も、全力で警察に対抗してきた。

 貨物駅跡に警察の施設を建築するには、市が策定するBプランか、市の同意が必要である。2010年に、警察は建築を都市計画的に認めるように申請を行ったが、市の都市計画委員会はこれを拒否した。決定を不服とする警察は提訴したが、裁判は警察の思うようには進行しなかった。2012年10月に至り、警察は貨物駅跡への計画を断念し、警察学校の場所に統合する検討に入った。エッセン警察署長は、新しい計画は「7年間計画してきた全てに矛盾する」と、残念さを隠さなかった。

 都市計画を巡る紛争にはいろいろあるが、たしかにこの紛争はユニークである。そして、警察が断念に追い込まれた最大の原因は、エッセン市が都市計画の権限を有していることにあった、と言えるだろう。

| 町の話題いろいろ | 08:29 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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