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じっと取り壊しを待つ高層住宅、ホラーハウス

 ドルトムント駅から1キロも離れていない場所に、「ホラーハウス」と呼ばれている102戸、18階建ての高層住宅が建っている。建物内への侵入を防ぐため、2002年11月に窓がブロックで塞がれてから、すでに10年以上が経過する。どのような経過で現在の惨めな姿となったのかを、簡単に説明したい。

南からホラーハウスを見る。侵入を防止するため、1階の窓がブロックで塞がれている。(2008年)
 建設されたのは1969年で、公的資金が投入された「社会住宅」で、主として低所得者に賃貸された。しかし、1980年代に売却された後、区分所有化され、「優良投資物件」として宣伝され、ドルトムントに来たこともない人々に売却されてしまった。購入したのは、大半が南ドイツに住むトルコ系などの非ドイツ人だったそうである。

 購入した個人には住宅の賃貸料が入るが、購入資金の返済と、住宅の管理経費を支払わねばならない。順調に賃貸料が入る間はともかく、空家になったりすると大変である。かなり前に建設されたこの高層住宅の場合、住戸規模が小さく、間取りも古くなっている。利殖目当ての家主は維持管理の資金を惜しみ、多くの費用がかかるリフォームは考えられない。こうして、結果的に空き家が増加していった。

 日本と違い、ドイツでは、光熱費の支払いが住戸毎でなく、住棟全体として供給処理業者と契約し、まとめて行われるのが一般である。だから、光熱費は家賃に含まれている。空家が生じ、家賃が入らなくなると、どうしても光熱費の滞納が生じやすくなる。この建物の場合は、2000年頃からそのような状況が拡大したようである。滞納が続くと、いずれ棟全体の電気やガス、地域暖房が止められ、エレベーターが動かなくなり、寒くて冬には住めなくなる。ここもそういう経過をたどり、空き住戸に浮浪者が入り込んで環境が悪化し、それがさらに空家を増やし、光熱費の滞納が拡大するという悪循環に陥った。さらには、入り込んだ者が夜にパーティーを行い、火の不始末で火災騒ぎまで生じた。

 この危険な状況に対し、最終的に市が住民に立ち退きを説得し、2002年11月に住棟を閉鎖した。この結果、投資物件として一攫千金を狙って購入した者は借金を返済できないことが確定し、その多くは破産せざるを得なくなった、と報道されている。

 現在、市はこの住宅を取り壊して緑地にしようと考えている。このためには所有権を入手することが必要で、所有者を調べあげるのに3年かかったそうだ。今後、連邦と州の補助金を活用して所有権を入手し、いずれ取り壊そうという予定であるが、あまり順調には進んでいない模様である。一体いつまでホラーハウスが建っているのか、誰も確定的なことは言えないまま、年月だけが経過しているのが現状である。
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| 人口減少や住宅 | 14:36 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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ドルトムントも転入の効果で人口増加が継続中

 エッセンの人口が22年ぶりに増加に転じたことを紹介したばかりだが、ルール地方最大の都市であるドルトムントはどうなったのだろうか。実は、ドルトムントはすでに2011年に人口がわずかに増加に転じており、2012年も継続して増加している。但し、エッセンと同じく出生数よりも死亡数が多く、自然増減はマイナスで、社会増加(転入超過)の効果である。

クレーンが建ち、住宅の建設が進む新住宅地ホーエンブッシャイの状況(2012年)
 エッセンより1年早く増加に転じたのは、やはり新規宅地開発の効果だと考えられる。現在、ドルトムントの新住宅地を代表するのは、フェニックス湖の周辺(住宅用地は26ha)と、イギリス軍が撤退した旧飛行場跡地ホーエンブッシャイ(同31ha)である。このうち、ホーエンブッシャイの分譲は2009年末に始まり、2010年には入居が開始している。ここには、住宅地に隣接して、香川選手が以前所属していたドルトムントのサッカークラブ「ボルシア・ドルトムント」が広い練習場を有している。そして、フェニックス湖周辺の住宅用地も、1年遅れの2010年に販売が開始された。このように大規模な宅地開発はドルトムントでも珍しく、現在のところ、この規模の新たな計画はない。だから、新住宅地開発の面から考えると、ドルトムントの人口増加はいずれ減速し、再び人口減少に転じる可能性がある。

 ところで、大学があることによる人口転入の効果はエッセンの方が大きいようで、2012年のドルトムントの人口増加は約900人で、エッセンに及ばなかった。なお、大学の存在が人口にこれほど影響することは、日本で「東京一極集中」が進行していることにも関係するように感じられる。ドイツの大学は基本的に州立であり、各地に分散している。これが、ドイツの人口が日本のように極端な分布になっていない一因かもしれない。

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