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大学がボーフム市の都心に進出

 ボーフムの大学であるルール大学が、今月、都心に進出してきた。日本では、大学が中心部から郊外に移転するのが一般なので、これは全く逆の動きである。背景には、大学入学までに修了すべき学校の課程が1年短くなったことがあるが、同時に大学と市民を近づける試みが行われている点は興味深い。

 まずは背景の方から:ドイツでは、4年間の小学校を終えた段階で、大学進学を目ざす生徒はギムナジウム(一般に「高校」と訳される)に入学する。高校は9年生まであるのが普通なので、日本に比べて大学入学が1年遅くなる。他のヨーロッパ諸国と比べても1年長いので、職業生活に入る時期も遅くなる。そこで、ギムナジウムを8年制にして、他の国々と揃えようと計画された。ドイツでは教育制度は州が決めるので、8年制になる時期も州で異なる。以前から8年制であった2州を除き、残る州は2009年から2016年に9年制から8年制に移行する。その移行年には2年分の卒業生が大学へ進学するので、受け入れる大学は大変である。ルール地方を含むノルトライン・ヴェストファーレン州では、今年の2013年が、このダブル入学年である。

 実は、大学進学率の上昇を受け、すでに数年前から大学は学生であふれかえっている。講義室が不足し、とくに新入生が入学する10月がひどい。ドルトムントではテントで講義が行われ、エッセンでは映画館を借りる等、どの大学も苦労している。そして、ボーフム大学が目をつけたのが、都心の空きビルである。郊外に大規模なショッピングセンターがあるボーフムでは、日本の地方都市ほどではないが都心商店街は苦労しており、空店舗もある。大学の場合は主に2階以上を利用する点も、上階の活用に苦労している都心との相性がいい。

道路の左手に見える高い建物がシュタットバートギャラリー。前の道路は歩道が拡幅され、車道の通行を許されるのは公共交通に限られる。(2008年)
 こうして目をつけられた建物のひとつが、都心の中心商店街から200m程度離れたところに建つシュタットバートギャラリーという複合建築である。もともとここには市の室内プールがあったが、取り壊され、店舗やオフィスなどが入居し、地下にプールのある複合建築に建て替えられた。所有者は民間の会社で、数年前にフィットネススタジオが転出し、その跡などが広く空いていた。そこで、大学は5層分について賃貸契約を行って入居し、下階に入居していた文房具店、衣料品店やレストランはそのまま営業を継続している。

 この他にも、中心商店街に建ち、1階に宝飾店が入居しているビルの上階も借りている。そこは、大学と市民を結ぶ場として計画され、「ブルー・スクエア」という名称がつけられている。とくに2階では、市民と大学を結ぶ目的で展示が行われており、現在は「香り」がテーマとなっている。

 現在、ボーフム大学の学生数は4万人強だが、そのほぼ1割が都心で学ぶ予定である。人数が多いので、都心商業にどのような影響が出てくるのか、今後の動きに関心が寄せられている。
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| 中心市街地や近隣供給 | 20:56 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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