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エッセンが「ヨーロッパ緑の首都」の最終ステージに進む

 都市コンテストの盛んなヨーロッパには、「緑の首都」という分野もある。2010年に「ヨーロッパの文化首都」に選ばれたルール地方でも、数年前からこれに応募しようという機運があった。応募に当たっては、文化首都の時と同じように、エッセンを中心に「地域」として応募することが検討されたが、最終的に認められないことになった。そこで、エッセン市が単独で、2016年の「緑の首都」に応募した。

 これまでに緑の首都に選ばれた都市は、初回の2010年がストックホルム(スウェーデン)、2011年がハンブルク(ドイツ)、2012年がビトリア(スペイン)、2013年がナント(フランス)、2014年がコペンハーゲン(デンマーク)、2015年がブリストル(イギリス)である。2016年に向けては12都市の応募があり、そのうち5都市が最終ステージに残された。5都市のうち、一定の基準でつけた得点が最も高かったのがオスロ(ノルウェー)で、エッセンは2位につけているそうだ。

 「ルール地方」というと、炭鉱や製鉄所が建ち並ぶイメージを有す人が多く、「緑の首都などとんでもない」と思われるかもしれない。しかし、実際に訪問してみると、石炭の煤煙は過去の話で、日本の都市と比較して緑がかなり多い。そのルール地方の中心都市であるエッセンが、「緑の首都」選定の最終段階に残ったことだけでも、すばらしいことである。

ニーダーフェルト湖。上の写真は、旧鉄道敷を取り壊し、湖を掘り始めた2012年、下の写真は、湖がほぼ完成した2014年。
 では、エッセンのどのような点が評価され、最終ステージまで進んだのだろうか。応募資料を見たわけではないので何とも言えないが、今世紀に入ってからの緑の増加が評価されたことは間違いないと思う。この点で、すぐに思いつくプロジェクトが3つある。

 第一は、都心の西にあった旧クルップ工場を取り壊し、跡地にクルップ本社や公園を設置したものである。クルップ・ゾーンと呼ばれ、総面積は230haもある。他の2つは住宅建設と結び付いた緑のプロジェクトで、以前も少し紹介している。都心のすぐ北では、大学の南にある貨物駅跡地が、住宅を中心としてオフィスもある大学地区に変貌している。またクルップゾーンの少し西では、クラインガルテンと旧鉄道敷を取り壊してニーダーフェルト湖を建設すると同時に、湖に面することとなる古い住宅が建て替えられている。写真に示したのは、最近の状況である。私が初めてこの地区を訪れたのは、工事が始まる前の2009年だが、当時を思い出すと、「地区がすっかり変わった」という感を受ける。そして、以上の3プロジェクトは、最近整備が進展した自転車ルートで結ばれている。なお、このルートは、ルール高速自転車道路の一部を構成する。

 2016年の緑の首都は、6月末に、今年の緑の首都であるコペンハーゲンで開かれる審査委員会で決定される。事前の点数は参考に過ぎず、審査員による議論で決められるので、エッセンの関係者は、「緑の首都」に選ばれる可能性が十分あると見ている。私も、「ここまで来たのだから、できれば首都に選ばれてほしい」と、期待して結果を待っている。

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| 居住環境や緑・公害 | 13:02 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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青い眼に嫌われるLEDの光 - 省エネか、気分か

 省エネルギーへの流れの中で、自宅の照明にLEDを使用する方も次第に増加し、道路照明にもLEDが進出する気配である。ドイツも同じで、すでにLEDの街灯が現れている。ところが、このLED照明の色が、エッセン南部の住宅地で問題とされ、住民が抗議行動を行う事態になっている。

 日本では、2009年夏に価格を大幅に下げたLED電球が登場し、普及への口火を切ったが、そのLED電球は白熱電球の色を目ざした「電球色」だった。実は、この電球色のLED電球より、白色のLED電球の方が効率が高い。そして、ドイツでは白色のLED電球が「標準色」として生産・販売され、価格も安いということである。だから、街灯に使用されるLED電球も、当然この白い標準色になる。

 エッセン南部には、白い標準色のLED電球が20m間隔で15灯も設置された区間があり、「明るすぎて落ち着けない」と問題になっている。たしかに20m間隔で白い光が林立すると、そう感じる人が出て来ることも理解できる。ある住民は「まるで刑務所のようだ」と嘆き、別の住民は「暑い時に庭で過ごそうとしても、落ち着けない」、と訴える。こうして、「省エネか、気分か」、あるいは「実務か、美学か」と、紛争になっている。

 さて、日本でもこのような紛争が生じる可能性があるのだろうか。私は、「その心配はない」と思っている。こう考える理由は、2つある。一つは、日本では電球色のLED電球が広く利用されており、価格もほぼ同じなので、電球を交換することで済む。もう一つの、それより重要な点は、白人と日本人の眼の色が違うことである。私は、エッセンでLED電球の色が問題になった背景には、ドイツ人の眼が青く、光の透過率が日本人より高いことがある、と考えている。

 私は、ドイツ人やイギリス人が暗い場所で平気で本を読む姿を見て、驚いたことがある。また、「日本人の住まいを訪問したドイツ人が、照明があまりに明るいと驚いた」という話しを聞いたこともある。これは、眼の色が違うことで説明できる。照明関係者に「蛍光灯民族」と言われている日本人は、白い照明も平気である。

 ドイツでは、つい数年前まで白熱電球が全盛で、最近になり、省エネのため、半ば強制的に蛍光灯とLEDへの転換が進んでいる。エッセンのLED照明の紛争は、この転換の速度が急速であるための摩擦という面もある。以前から白い色の蛍光灯に転換済みの日本では、このような紛争は生じないはずである。眼の色が青いと、光の透過率が高いという長所だけでなく、意外な短所もあるわけで、状況に応じて眼の色を自由に変えられるといいのだが・・・

| エネルギー・地球環境 | 22:06 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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スピード違反検挙マラソンの新機軸:住民意見で対象地点

 ルール地方を含むノルトライン・ヴェストファーレン州では、2年前から「スピード違反検挙マラソン」という行事が行われている。これは、警察が、朝から晩、そして翌朝までの24時間連続でスピード違反を検挙する行事で、違反車の写真を撮影する際にフラッシュが使われるためか、俗に「フラッシュ・マラソン」と呼ばれている。明日の4月8日(火)に今年1回目のマラソンが行われるのを前に、先週末から測定機が置かれる場所が公表されている。場所が公表されているにもかかわらず、今回もまた多数の違反者が検挙されることは間違いない。

 今回の「フラッシュ・マラソン」では、新機軸として、「対象地点の設定に住民の意見を反映させる」試みが採用された。デュイスブルクの場合は、警察が示した候補地に、3月28日から4月3日までの1週間にわたって警察と新聞社のホームページを通じてクリックで投票を受け、多い方から30箇所を対象地点に採用する。市によって方法は少しずつ異なり、候補地を示さずに希望する対象地点を出してもらう市もあるようだ。

 デュイスブルクでは市民約2千人がクリックに参加したのに加え、警察に電話してきた市民も百人ほどいたそうだ。クリックが多い地点は警察の予想とそれほど変わらず、事故の多い通りが選ばれていたそうだが、市民の関心を盛り上げたことは間違いない。電話してきた市民の中には、当日にスピード違反測定の現場に招かれ、測定に参加する者もいるそうである。

 このようにしてスピード違反検挙に力を入れるのは、スピードが事故時の生死に直結するからである。州警察は、統計的に見て、時速65キロでは歩行者の8割が死亡するが、50キロになると8割が生存者となる、と説明している。ドルトムントでは、この2年間に、スピード違反車の制限時速オーバーが、平均14.6から10.2キロに縮小されたそうで、これは「フラッシュ・マラソン」の効果だと考えられている。

 ノルトライン・ヴェストファーレン州で始められた「フラッシュ・マラソン」は、すでにドイツの他州にも拡大している。「24時間連続」というのは厳しいが、日本も実施を検討してみてはどうだろうか。

| アウトバーンや交通規制 | 20:33 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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