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「白い巨人」の老朽化した地下駐車場で車の救出劇

 デュイスブルクで「白い巨人」と呼ばれている高層住宅群の問題で、市は一部取り壊しを目ざし、力を入れて取り組んでいる。しかし、まだ具体的な動きはなく、とくに空き家の棟では老朽化が進行している。そして今月初め、この「白い巨人」が全国から注目を集める出来事があった。注目を集めた場所は、高層住宅ではなく、最も東側の地下駐車場である。

老朽化した地下駐車場の入口。背後に見えるのは、空家となっている320戸の高層住宅。(2008年撮影)
 この地下駐車場は、以前から雨水が浸入し、老朽化が問題となっていた。しかし、当分、抜本的な改修を望めそうにはない、160戸の棟と、空家となっている320戸の大規模棟の共有だからである。小規模棟の側では改修したい気持ちがあり、資金を集めることも可能だろうが、大規模棟は誰が所有者かも分からない。雨水がたまる下層部は大規模棟に所属する。そこで、小規模棟の側は、応急的に下層に木材で支柱を立てる対策を行ったが、雨が降る度に、大規模棟に所属する下層を中心に、駐車場の老朽化が進行している。

 市は、崩壊事故が起きる前に、どこかの時点で駐車場を「閉鎖」しなければならないと考えていた。そして昨年10月に、翌月の2013年11月18日(月)正午に駐車場を「閉鎖」する、と決定した。決定が行われたのは閉鎖のほぼ1ヶ月前で、小規模棟の区分所有者に10月中に文書で連絡された。さらに、閉鎖前の金曜日には掲示も出されたので、ほとんどの者は車を外に出すことができた。ところが、1台の車が取り残されてしまったのである。

 こうなったのには、それなりの理由がある。車は夏に利用されるオープンカーで、所有するハイスターマンは外部の人である。彼は、冬の間、車を冷えない場所に置いておきたいと考え、地下にあるこの駐車場を借りることにした。車は10月末までしか走行できないので、10月下旬に車を入れ、休暇に出かけた。駐車場の貸し主が閉鎖の連絡を受けた時、ハイスターマンはすでに遠いところで休暇を楽しんでいて、戻って来てみると駐車場が閉鎖されていた、というわけである。

 もちろん、ハイスターマンは車を取り出そうと努力した。しかし、市は「健康と命に関わる危険があるので、誰も入らせることはできない」とつれない。車は来年6月に車検が来るので、それまでにどうかしなければならないと考えて弁護士に依頼したが、無理だった。

 この問題は、9月はじめに地元紙に取りあげられ、中旬過ぎには大衆紙で全国的に報道され、「ばかげたことで目立つ」ことを行った人に「今週の星」をプレゼントしているテレビ番組の知るところとなった。デュイスブルク市役所を不意打ちで訪れたテレビ局のチームは、建設・都市計画部門のトップを「今週の星」に選び、驚いた責任者は、カメラの前で「個人的に対処する」と約束した。

 こうして、10月1日に救出劇が実行された。2名の構造専門家、カメラマンとハイスターマンが駐車場に入り、「車を出すだけなら大丈夫だろう」という判断の下、車が救出された。本来なら、ハイスターマンはすぐに洗車し、車を運転したかったはずである。しかし、車は密閉して輸送できるトラックに乗せられ、テレビ局に直行した。こうして、埃だらけの車体が、全国に放映されたそうである。
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| 人口減少や住宅 | 17:17 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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再生エネ一辺倒の是正を求め市エネルギー公社職員がデモ

 現在、日本では再生エネルギー、とくに太陽光発電の電力買い取りを電力会社が一時的に停止したことを巡り、今後のエネルギー政策の方向が問題となっている。再生エネルギー供給増大を目ざして2012年7月に導入された固定価格買い取り制度(FIT)は、ドイツの制度をモデルとしたものである。そのドイツでは、日本より一足先に再生エネルギー供給の増大が問題となり、新規買い取りが停止されているそうである。ルール地方でも、北海の風力で発電された電力を南部に送る送電線建設をめぐる反対運動が報道されたりしていたが、昨日は、デュイスブルク市などの市エネルギー公社職員がデモと集会を行ったことが報道された。

集会に登場してドラム缶を打ち鳴らした幽霊。背後に見えるのはデモ参加者。(Der Westen紙より)
 今週水曜日の昼に、デュイスブルクで、再生エネルギーだけを優遇している現行制度の是正を求め、市エネルギー公社(Stadtwerk)職員によるデモと集会が行われた。右の写真は、デモに続いてデュイスブルク都心の歩行者空間で行われた集会に登場し、ドラム缶を打ち鳴らした「幽霊」である。

 Stadtwerkは、ドイツの市民生活にとって重要な存在である。直訳すると「都市作業」となるだろうか:市民に電気やガス、熱を供給しており、市バスや電車を運営する交通会社とグループを形成しているのが普通である。市の子会社なので、ここでは「市エネルギー公社」と意訳してみた。以前は市の電力供給を一手に握る例もあったが、「電力供給自由化」の旗印で門戸開放を迫られ、顧客の減少を余儀なくされた。そして最近は、再生可能エネルギー買い入れを求められる結果、電気料金の値上げも行ってきている。今回のデモは、その問題ではない。再生エネを優先する連邦政策の結果、エネルギー公社が保有している発電所の稼働率が低下し、採算が悪化している問題に抗議し、責任あるエネルギー政策を連邦に求める、という趣旨である。

 デュイスブルク市エネルギー公社の場合、これまでコジェネレーション(コジェネ、熱電併給とも呼ばれ、タービンで発電した後の排熱を熱の供給に利用し、エネルギー効率を高める方式)に力を入れてきた。ところが、増大する再生エネが優先されるため、コジェネ施設がよく停止するようになり、昨年は約800万ユーロの損失が生じたそうだ。こうして、「このままでは仕事を奪われる」と、今回の行動が計画された。集会に来賓として出席したエネルギー公社社長は、コジェネをエネルギー政策の柱に加えるように求め、デュイスブルクのリンク市長は、エネルギーの市場価格が低下しているのに、市民が支払う電気料金は再生エネで高くなる現状に問題を指摘した。

 デモと集会が目ざす訴えの先には、首都ベルリンの連邦政策がある。このデモは「ほんの始まりであり、連邦の経済エネルギー大臣が聞く耳を持つまで続ける」と警告し、幽霊がドラム缶を打ち鳴らした。集会には、デュイスブルク市に加え、オーバーハウゼンなど周辺市のエネルギー公社も参加したが、ドラム缶の音は果たしてどこまで聞こえたのだろうか。

| エネルギー・地球環境 | 13:31 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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