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エッセンとミュルハイムの交通会社合併と社長給与

 ルール各市の交通会社は、相互乗り入れ等を通じて協力関係にあり、州も協力や合併を奨励している。今年は、エッセンとミュルハイムの交通会社が合併し、経費の削減が期待されている。ところが、この1月前半に新聞を賑わせることとなったのは、合併した会社の社長年俸の約25万ユーロが「高すぎる」という問題だった。エッセン市長などが沈静化させようと努力したが、合併に経費削減を期待していた市民や政党を納得させることはできず、結局、新社長がボーナスを辞退し、年俸を20万ユーロに抑えることとなった。

エッセン市内を走るEvagの電車。(2013年撮影)
 デュイスブルク、ミュルハイムとエッセンの交通会社は、1千万ユーロの経費削減を目ざし、2008年にViaという会社を設立し、従業員の一部をViaに移した。目ざされたのは、主として車両や駅の補修作業を共通で行うことである。そして、翌年には「将来的に合併を目ざす」ことが合意された。しかし、各市によって事情がいろいろと異なるため、その後は協力関係が停滞する。3市とも財政に苦しんでおり、公共交通の赤字も問題とされているという事情もある。2015年に入ると、州が、3市の交通会社では間接部門の経費が多いので、合併で削減すべきだと、強く合併を求めてきた。これに反発したデュイスブルク市は、Viaからの脱退を決めた。残るエッセンとミュルハイムは、2017年1月1日付けで合併することでまとまった。

 合併にあたり、「吸収合併」の印象を避けたいと考えたミュルハイムは、「2人社長制」を提案し、エッセンも受け入れた。ところが、合併後の1月に入り、合併前は約20万ユーロだった社長の年俸が、25万ユーロになったという情報が報道されたのである。経費削減のための合併で、従業員には全くプラスはないのに、社長給与だけが増加するのは納得できないと批判され、政党も問題を取りあげた。当初、エッセンは「ミュルハイム側が求めた」と説明していたが、ミュルハイムは「エッセンがミュルハイムの意見を聞かずに決めた」と反論し、給与が増加された経過は謎である。そうこうするうちに、新会社の今後を心配する両社長が、給与の一部辞退を申し出たわけである。

 今後うまく合併の効果が現れるのかどうか、不安を感じさせるような結末である。いつまで2人社長制を維持するのか、来年の社長年俸がいくらになるのかも、まだ決まっていない。「社長の給与一部辞退」という結末には、ドイツ的と言うより「日本的で曖昧な解決」の匂いもするが、「ドイツと日本の違い」はあまり大きくないのかもしれない・・・。

 なお、エッセン市長の給与は年間約15万ユーロと、子会社である交通会社の社長に届かず、都市計画担当などの助役はさらに少なく、約12万ユーロである。一方、子会社社長の給与は会社によっていろいろで、ほぼ10~30万ユーロである。こちらの多彩さは、ドイツ的なのかもしれない。
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| 公共交通 | 16:22 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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エッセンの「ヨーロッパ緑の首都」年がいよいよ開幕

 いよいよ2017年を迎えたが、この2017年は、エッセンにとってはとくに意味深い年になるはずである。1年半前に決定し、その後準備を進めてきた「ヨーロッパ緑の首都」の年だからである。

グルガ公園の入口周辺。左奥に見える建物は温泉クア施設で、手前左に石灯籠が置かれている。(2014年撮影)
 緑の首都年の公式の開始行事は、1月第3週の週末である1月21と22の両日に、エッセン中央駅から2キロほど南にあるグルガ公園で開催される。この公園は、1929年にドイツ初の庭園フェアが行われた場所で、公園として整備し、有料で市民に公開されている。その後も、1965年の連邦庭園フェアなど、庭園に関係する多数のイベントの場として、市民に親しまれている。公園の規模は全体で約65ヘクタールあり、日本で言うと、上野公園(53ヘクタール)と明治神宮(73ヘクタール)の中間に位置する。なお、グルガ"Gruga"という名称は、当初行われた「大規模ルール地方庭園展示(Große Ruhrländische Gartenbau-Ausstellung)」の頭文字をとったものである。

 下に示しているのは、エッセンの演劇グループ"Ruhrpott"が、緑の首都の宣伝に協力しようと作成し、ユーチューブにアップした映像、「2017年エッセン緑の首都の歌」である。過去の「鉄と石炭の町」が緑の町に転換し、EUプロジェクトに選定され、エコロジーに努力していることが訴えられている。

 こう説明していくと、「緑の環境首都は、緑や公園に関係する催し」と受け止められるかもしれない。私は、緑の首都に関するニュースをいくつか読んでいるが、思ったよりも広範な内容を含むプロジェクトだと感じている。そこで、緑の首都につき、いくつかのポイントを紹介したい。

 プロジェクトの広範さ:ウィキペディアにも紹介されているように、もともと「緑の首都」の選定には12の指標がある。それを眺めると、騒音や大気汚染のような生活環境に関わることだけでなく、気候変動やエネルギー使用などの地球環境的な視点も重視されている。一言で要約するとすれば、「持続性」ということになるかもしれない。現在、財政が厳しいエッセンでは、公共交通に対する市の負担をどうするかが問題となっているが、緑の環境首都に選定されたことが、公共交通の維持にもプラスになっている雰囲気が感じられる。

 住民の参加で進められる:緑の環境首都として何に取り組むかに関し、市は住民に広く呼びかけ、プロジェクトを募集した。現時点で約300件のプロジェクトが予定されており、住民の関心の高まりにより、今後もプロジェクト件数が増加していくと考えられる。

 過去よりも未来:緑の環境首都が取り組む広範な課題は、現代においていずれも重要なものであり、今年1年で終わってしまってはならない。今後も継続して取り組むことが必要で、その点で、「過去の成果を示すものではなく、将来を見据えたもの」だと説明されている。

 プロジェクトの例として、5つの高校が、校舎のエネルギー節約を競うコンクールを紹介したい。エッセン市は多数の建物を有しているが、そのほぼ半数は学校で、省エネの余地は大きい。同時に、生徒に工夫を促し、考える機会を提供することで、持続性を目ざす将来性ある人材を育成する意味もある。プロジェクトでは、建物の環境や消費エネルギーを正確に測定することが必要で、緑の首都のメインスポンサーで、エッセンに本社がある環境測定のイスタ社が必要な技術を提供している。どんな結果が出て来るのか、楽しみである。

| 居住環境や緑・公害 | 16:12 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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