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大型トラック対策 - 車線減少で「三度目の正直」となるか

4車線のフリードリッヒ・エバート通り。2013年8月の月曜日朝8時半頃なので、トラックは全く見えない。
 デュイスブルクのライン川を渡ったラインハウゼン地区では、以前から住宅地をわがもの顔に走る大型トラックが問題とされていた。最も問題とされてきたのが、ラインハウゼン地区を南北に縦断する4車線の幹線道路の「フリードリッヒ・エバート通り」である。右の写真がその通りだが、トラックが1台も見えないのは、月曜日の朝早く撮影したためである。道路に沿って集合住宅が建っており、確かに大型トラックが通ると大変だろうと感じる。

 トラック公害への対策として、フリードリッヒ・エバート通りでは、近く車線が上下各1車線と半減されることになっている。京都市の四条通りでは、歩道を広げることを主目的に車線減少が行われたが、ラインハウゼン地区の場合は歩道幅員は変更せず、中央部を緊急車両が通れるようにするそうである。たしかに車線が減れば、トラックの通行も減るだろう。しかし、迂回によって周辺で公害がひどくなる可能性もある。しかし、ここではそれは余り心配されていない。その理由は、これまでにフリードリッヒ・エバート通りの負担を減らすために対策を行ってきたが、「運転手が依然としてフリードリッヒ・エバート通りを好んで走るため、効果がほとんどなかったので、今度こそ迂回させよう」、という対策だからである。そこで、これまでの経過を簡単に説明したい。

 ラインハウゼン地区の産業で非常に重要な存在が運送業の団地「ログポート」で、規模は265haあり、これまでに約5千人の新規職場が進出している。この用地は1993年に最後の溶鉱炉の火が落とされたクルップの製鉄所跡地で、デュイスブルク港湾会社が入手し、「ログポート」と名付け、運輸団地として開発した。実は、ここは日本とも関係がある、ここに初めて進出を決めたのがNYK社、つまり日本郵船だからである。港湾会社は、日本郵船の進出を知り、開発がうまく進みそうだと喜んだそうである。

 こうしてログポートは順調に発展した。ここには港と鉄道もあるが、近年の輸送の主役は大型トラックである。まだNYK社もない1996年に、フリードリッヒ・エバート通りを走るトラックは日に174台であったが、2005年には8倍強の1465台に増加した。こうして住民から交通公害への苦情が出され、対策が検討されるようになった。下の図のように、大半のトラックはアウトバーン40号線からログポートへ最短距離で向かおうとする。そうなると、多数のトラックがフリードリッヒ・エバート通りを通るのは、当然のことである。

ログポートと周辺道路。赤色の道路が沿道住民からの苦情が多い部分で、そのうち南北方向の道路がフリードリッヒ・エバート通りである。青色の道路が、対策として建設された2本のバイパスを示す。

 対策として考えられたのが、バイパスの建設である。アウトバーンとログポートを、住宅地を通過せずに結ぶルートとして南バイパスが考えられ、着工された。しかし、トラックにとってかなり迂回が必要とされ、とくにライン右岸からの利用は期待しにくいため、ログポートへ向かう交通の2/3しか利用しないと考えられた。そこで、残る1/3のため、ライン川を渡った地点からログポートへ直結する東パイパスも追加された。もちろん、東バイパスを北にアウトバーンまで川沿いに伸ばすという案も考えられる。しかし、多額の建設費用がかかることに加え、川沿いの貴重な自然を破壊する。環境団体の反対が強く、実現は無理だと考えられている。

 こうして、東バイパスは2008年、南バイパスは2009年に開通した。しかし、その後も多数のトラックがフリードリッヒ・エバート通りを走り、運転手の行動を変えることの困難さを示している。そこで、2010年に入ると、7.5トン以上のトラックはフリードリッヒ・エバート通りを通行禁止にする案が追求されるようになる。もちろん、通り沿いの施設に向かうトラックは規制されず、通行が認められる。

 規制開始後の調査で、たしかにトラックが少しは減少したが、それでも900台近い通行があることがわかった。違反が多いと推定されるが、それでも警察には取り締まる動きがない。背景には、取り締まりにあまり効果を期待できないことがある。違反しても罰金は15ユーロと低額で、フリードリッヒ・エバート通りにあるガソリンスタンドへ向かえば違反でなくなる、という事情もある。

 その後も、対策について様々な議論が行われ、2016年に、市議会がフリードリッヒ・エバート通りの一部で車線を減少させ、大型トラックへ圧力をかけて迂回させることを承認した。これには道路工事が必要で、近く開始する予定である。もちろん、車線を減少させれば交通が渋滞すると反対する市民もいるが、専門家は車が減少するので心配ないとしている。実は、バイパス建設でトラックが減少する、あるいは7.5トン以上のトラック禁止に効果があると予測したのも、専門家である。今度のフリードリッヒ・エバート通りの負担軽減のための車線減少では、専門家の予測が実現することを願っている。
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| アウトバーンや交通規制 | 22:22 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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