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ボーフム中央駅の特急停車復活とオンライン請願

 まず日本の話しから:私が利用しているJR東日本の東北本線や東北新幹線では、電車の発車は時刻によって異なる、たとえば1時間に1本走る電車なら、8時40分の次は9時37分というように。当たり前のことだと思っていたが、ドイツで別の考え方を学んだ:8時40分の次の電車なら、当然9時40分である。時刻によって「何分か」と調べる必要がないので、公共交通利用者にはありがたい。そして、ドイツでは、都市の人口規模によって特急停車駅が決まっていて、特急停車駅には全ての特急が停車する。このシステムがわかり、ドイツで列車を利用するのが非常に楽になる。ただ、問題は列車の遅れである。公共交通にとり、この「定時性」は重要な要素である。

正面からボーフム中央駅を眺める。(2002年撮影。カワカミ都市計画研究室提供。)
 ところが、昨年12月の冬ダイヤで、ボーフム中央駅に関してこの原則に反するダイヤ変更行われた。ボーフム中央駅には計105本の特急と急行列車が停車していたが、昨年のダイヤ改正で、そのうち15本が停車しなくなったのである。理由として、鉄道から「列車の遅れを少なくするため」と説明があった。

 なぜボーフム中央駅が対象になったのかは、上にあるブログの標題に使用している地図の画像を見ればわかる。実は、この「ルール地方まちづくりま通信」の対象6都市のうち、オーバーハウゼンとミュルハイムを除く4都市が特急停車駅である。デュイスブルクの南には州都デュッセルドルフが隣接しており、この地域はドイツで最も特急停車駅が密集している。ドルトムントとエッセンはルール地方の中心であり、デュイスブルクも人口が50万人弱で、鉄道分岐点として重要である。一方、ボーフムは人口が40万人に満たず、ドルトムントとエッセンに挟まれている。つまり、隣の市まで行けば特急に乗り換えられるので、停車しなくなっても影響は大きくないと思われる。鉄道も、「乗り換えれば良く、これまでより時間が5~10分余分にかかるだけ」と説明していた。

 ところが、実施してみると、「5~10分」の差で済まない場合があることが明らかになった。原因は、「定時性の不足」である。たとえばボーフムから東へ向かう場合、ドルトムントで特急に乗り換えることになる。うまく行く場合が多いが、特急とローカル列車の時刻が調整されていないため、ローカル列車が遅れて特急に間に合わない場合が出てくる。そうなると、次の列車を1時間近く待たねばならない。こうして、通勤者を中心として、停車復活を求めるオンライン請願が始まった。賛同者がインターネットで署名する活動で、3月はじめに500名に達し、下旬には第一段階として連邦へ提出する1873名の署名が市長に預けられた。署名はその後も増え続け、すでに3千名を超えている。

 しかし私は、この署名活動が成果を得るとは思っていなかった。この地域では、これまで数回のオンライン請願が行われていたが、成果が得られた例はなかったからである。ところが、今回は成果があった:請願を背景にボーフム市長が鉄道と交渉した結果、次の冬ダイヤ改正でまず7本の停車が復活することが発表された。鉄道によると、「ボーフムに停車しないことによる定時性の回復は0~15%」だったそうなので、予想ほど効果がなかったのかもしれない。それでも、一旦決めて実施したことを撤回するには、かなり勇気が必要だったことと思う。

 現在、「どうなるのだろうか」と思って観察している住民運動がもう1件ある。それは、オーバーハウゼン市北部の貯蓄銀行支店の閉鎖反対である。貯蓄銀行は、日本の郵便局に相当する庶民金融機関で、市の子会社になっている。近年、顧客の行動が変化し、小規模な支店の利用が少なくなっており、閉店してATMだけにする例が増えている。昨年はデュイスブルクで、住民の反対を押し切って数店舗が閉鎖された。そして先月末、オーバーハウゼン北部でも2店舗の閉鎖が発表され、そのうち1店につき、住民が反対運動を組織している。閉店を取り消すのは難しいと思うが、もしそうなった場合は、このブログで紹介したい。
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| 公共交通 | 17:28 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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「白い巨人」の爆破日程が9月3日(日曜)に決定

 以前からこのブログで伝えてきたデュイスブルクの「白い巨人」で、昨年から準備が進められていた320戸を有す棟のひとつ(図のE棟)を爆破する日程が、この9月3日(日曜日)に決定した。爆破するには、周辺住民の避難や、店舗の閉鎖が必要となる。土曜日の夕方に行うことも可能だが、ドイツでは店舗は原則的に日曜日の営業が認められていないので、その日曜日にゆっくり爆破することになったのであろう。

デュイスブルク西部にあるスクラップ不動産「白い巨人」6棟の配置。今回爆破されるのはE棟で、次がB棟の予定である。

 もっとも、「ゆっくり爆破する」とは行っても、実際に爆破にかかる時間は20秒ほどだそうである。その20秒のために、昨年から準備が進められてきており、健康に問題のあるアスベスト板の除去も含まれている。爆破を担当するのは、これまで準備を進めてきた会社ではなく、世界中で建物の爆破を行っている専門の会社だそうである。

 日程の決定を受け、デュイスブルク市のリンク市長は現地で会見を行い、遂にスクラップ不動産の一つが消えることと、跡地に植樹を行うことを発表した。周囲ではショッピングセンターや医療センターの計画も進んでおり、地区の改善にはずみがつくと期待されている。

| 人口減少や住宅 | 17:13 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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