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2017年07月 | ARCHIVE-SELECT | 2017年09月

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ミュルハイム市が氷を使う断熱実験に参加を呼びかけ

 ミュルハイム市は、地球環境を維持するため、二酸化炭素の排出削減に積極的に取り組んでおり、連邦が行う「革新都市プロジェクト」にも参加してきた。そのミュルハイムが、今、市民に断熱実験への参加を呼びかけている。

 ドイツや北欧諸国では、二酸化炭素排出削減への重要な柱の一つが「住宅の断熱」である。住宅の断熱では、ポイントとなるのが「住宅所有者が、断熱の有効性を認め、断熱改修を行う」ことである。断熱改修には経費が必要になるため、家主に納得してもらう点では、どの都市も苦労しているようである。

 今回、ミュルハイム市は、断熱実験コンクールを実施し、市民の断熱への関心を高めようと考えた。その方法は、次のようなものである。
  • 市中心部のルール川に沿ったプロムナードに、断熱のない住宅と、断熱改修を施したモデル住宅を設置する。
  • 両住宅に、280リットルの氷(重さにすると、257キロほど)を収容し、8月25日~9月10日の2週間放置する。そして市民に、両住宅でいくら差が出るかというコンクールへの参加を呼びかける。
  • 9月10日に溶けた量を測定し、コンクール結果を発表して表彰する。

 上に示したのが、コンクールへの参加者が書き込む書式(ドイツ語の部分を日本語に訳している)で、ミュルハイム市のホームページにある。もちろん賞品があり、1等は週末に電気自動車を使用すること、2等は台所のガスグリル、そして3等は建材店の商品券100ユーロである。

 「断熱実験」で思い出したことがある。現在は断熱材は身近なものになっているが、開発された当初はどのような効果があるのか、知る人は非常に少なかった。そこで、開発した会社(たしか北欧だったと思う)が思いついたのが、「暑いアフリカへ氷を送って効果を示す」ことである。送付先は、「密林の聖者」と呼ばれていたシュバイツァー博士の病院である。そのテレビ番組(ずいぶん昔のことで、ひょっとすると日立の「世界ふしぎ発見」だったかもしれない)によると、氷はほとんど溶けずに届き、みな驚いたそうだ。

 送付用に断熱材でしっかり包装した氷と、普通の住宅に入れられた氷では、もちろん溶ける速さが違うだろう。住宅の断熱に加え、氷の設置方法、気温やドアの開閉状況なども関係するので、全く見当がつかない・・・。どのような結果になるのか、9月10日の発表が楽しみである。
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| エネルギー・地球環境 | 16:05 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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エスカレーターでは歩かずに、左右とも立つべし

 ルール地方の新聞を見ていると、時々、他地域の情報も入ってくる。数日前は、ミュンヘン中央駅の興味ある情報が報道されていた、「エスカレーターでは歩かずに、左右とも立つべし」という規則を導入した、という話しである。

 東京と異なり、ヨーロッパでは「左は歩く、右は立つ」がエスカレーター利用の不文律となっている。40年以上前の話しなのでうろ覚えだが、ロンドン地下鉄にある木製エスカレーターの各段の間に、右側には"stand(立つ)"、左側は"Walk(歩く)"と書かれていて、「なるほど、合理的だ」と左側を歩いた記憶がある。ドイツでも、右側に"Stehen"、左側に"Gehen"と書かれることがある。

ミュンヘン中央駅のエスカレーターに設置された標識。ドイツ語と英語で説明がついている。(Patrick Schultz氏のツイッターより)
 ミュンヘン中央駅では、少し前に、2機のエスカレーターが改修されることになった。残る1機しか利用できなくなるので、混雑がかなりひどくなることが心配される。そこで、混雑への対策として「歩行禁止」が導入されることになった。エスカレーターの昇り口には、右の写真のような標識が付けられた。標識の上側が「左は歩く、右は立つ」状況を記しているが、左側の歩く人は赤色で記されており、「歩行禁止」を示す。下側が左右とも立っている状況で、緑色の大きなチェックマークが、「この方式を利用するように」と示している。

 「乗客が両側に密に立てば、エスカレーターの能力がより良く活用され、最終的に全員が早く目的地点に到達できる」ことは、ロンドン地下鉄が2016年にホルボーン駅で実施した調査で確認されているそうだ。そこで、ネットを検索してみたところ、ユーチューブに紹介されていることがわかった。それがこの映像である。たしかに、両側に立った場合には、片方を歩く場合より3~5割ほど多くの人が利用できている。原因は、車の「車間距離」に相当する「人間距離」にある。歩くとスピードがつくので詰められず、立つ場合に比較して広い間隔が必要となり、輸送人数が減少する、ということである。

 日本語の情報を求めてさらに検索を続けると、ホルボーン駅について、「立ってるほうが結局速いという結論が導かれた」という記事を見つけた。情報の元となったガーディアンの記事によると、2002年にも調査が行われたようで、2002年の結論を詳しく調べるために、2016年に半年かけて実験されたのかもしれない。

福島駅ホームのエスカレーターでよく見られる、左側はいっぱいで、右側が空いている光景。エスカレーターの輸送力が、半分しか生かされていない。(2017/08/13、2/3番線ホーム)
 多数の人が一斉に出口へと急ぐロンドンや東京のような大都市では、歩く人もかなり多いので、左右とも立っても輸送力が3~5割しか増加しないのだろうが、私が住んでいる福島では事情が異なる。10割、つまり2倍近い増加が見込める。左の写真が示すように、歩く人が少なく、ほとんどの人が立つにもかかわらず、右側を空ける習慣が定着してしまったからである。だから、左右両側に立つと輸送量がほぼ2倍に拡大し、同じ人数を半分の時間で輸送できる。右を空ける習慣が、エスカレーター昇り口の周囲に利用しようとする人による滞留を発生させ、ホームから出るのに時間がかかるという結果を招いている。

 もちろん、福島駅でも、エスカレーターの昇り口には、歩いたり走るのを禁止するマークが描かれている。しかし、エスカレーター内側の見えにくい位置に、遠慮がちに描かれているので、効果は期待できない。急ぐ人は階段を利用すればいいわけだから、「急ぐ人は階段へ」とか、「両側に立ち、多くの人を輸送しよう」などという説明を追加することも考えてみてほしい、と思ったことである。

時刻によっても状況に差がある (2017.08.29)

 今朝は北朝鮮のミサイル発射で列車が遅れ、福島駅のホームでかなり待たされた。その間に、福島駅には列車が到着し、エスカレーターを歩いて利用する人も多く見られた。私が上の写真を撮影した夕方の状況とは、かなりの違いである。夕方は、仕事を終えた人々が家路を急ぐが、帰宅が少し遅れてもとくに問題はない。一方、朝は始業時刻があり、その上、福島駅では元気な高校生が多く降りる。こうして、エスカレーターの右側がかなり使用されていた。だからといって歩行を認める必要はないと思う、元気な高校生には、階段の方が似合っているからである。

| 公共交通 | 15:30 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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ディーゼル車は窒素酸化物による危機を乗り切れるか

 この2週間、ドイツでディーゼル車について大きなニュースが続いた。まず7月28日(金)に、南ドイツでタイムラー車の本社があるシュツットガルトの行政裁判所で、「ディーゼル車の走行禁止もあり得る」ことを認める判決が出された。裁判では、走行禁止があり得ることを予想できない時点でディーゼル車を購入したドライバーの権利と、窒素酸化物の汚染に苦しむ住民の健康保持の利害の軽重も問題とされたが、裁判官は明確に「健康保持」を優先させた。原告はドイツ環境援助という環境団体で、車の排気ガス汚染がひどく、EUが定める許容値を超えている16都市に対し、大気浄化計画の改訂を求めて提訴していた。

 このような窒素酸化物を巡る争いの背景にあるのが、2年弱前に発覚した、フォルクスワーゲン(VW)グループによる排ガス不正事件である。違法なソフトウェアを自動車に組み込み、排気ガス排出試験の時だけ十分な対策を行い、路上を走る際は窒素酸化物をはるかに多く排出していた、という事件である。事件の後、どのような対策が行われるのか関心を持っていたが、フォルクスワーゲンは逆に世界での販売台数を伸ばしていき、不思議に思って眺めていた。

 先週8月2日(水)には、この排ガス不正事件の後始末とも言える会合が、ベルリンで行われた。「ディーゼル・サミット」と名付けられ、連邦の担当大臣、関係州の首相、そして自動車メーカーの代表が参加した。そして、約500万台とも言われるディーゼル車のソフトウェアを無償で交換することで、窒素酸化物を減少させることが発表された。ソフトウェア交換につき、メーカーは「ディーゼル車の走行禁止より効果がある」と話しているそうだが、これには環境団体などが疑問を表明している。南ドイツ新聞によると、先のシュツットガルト行政裁判所判決は、大気浄化計画を策定する州に対し、「自動車業界が対処するということを信頼してはならない」、そして「走行禁止は、有害な窒素酸化物による高い負担を低減する最も効果的な手段である」と述べているそうである。

 問題は、今後どう進むのかである。これから、自動車メーカーはソフトウェア交換に力を入れることだろう。重要なのは、「その結果として都市の大気が実際に改善されるのか」である。もし年内に改善傾向が示されなかったら、裁判の判決を受け、来年は「ディーゼル車の走行禁止」へと踏み切る州が出てくるだろう。そうなれば、ルール地方も対象から逃れることはできない。実は、デュイスブルクの南に隣接する州都デュッセルドルフでは、すでに昨年9月に、行政裁判所が「ディーゼル車の走行禁止もあり得る」ことを認めた判決を出している。この訴訟は、現在、連邦行政裁判所で争われている。そこで、シュツットガルト行政裁判所の判決も、飛越上告され、デュッセルドルフの判決と一緒に扱われる可能性がある。

 つまり、「ディーゼル車の走行禁止の有無」を決めるのは、自動車メーカーによるソフトウェア交換の効果と、裁判所の判断である。ドイツがディーゼル車をまもることにはいろいろ議論があるが、決定が自動車メーカーの努力の実績と、裁判所の判決に握られている点は、「決定過程の公開」という点で高く評価していいのではないだろうか。もちろん、「遅すぎる」という批判はある、EUは、大気汚染が改善されないことに業を煮やし、2年ほど前から「罰金を科す」と脅しているそうだ。これを知ると、ミュルハイムが連邦道路1号線30キロの速度制限に取り組んだ背景も理解できることだろう。残念ながら、速度制限で汚染を低減できる箇所は限られており、大多数の道路では別の対策が必要なようである。

| アウトバーンや交通規制 | 14:24 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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