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2018年08月 | ARCHIVE-SELECT | 2018年10月

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バス停での事故をなくせ - ドイツでは注意や徐行の義務

 8月末に、横浜市で、停車中の市営バスの後ろにある横断歩道を横断中の小学5年生が、反対方向から来たワゴン車にはねられ死亡するという痛ましい事故が発生した。バス停は交差点の角にあり、横断歩道と5メートル程度しか離れていず、バスは交差する道路と横断歩道をまたいで停車していたそうである。バスで横断する生徒が死角となり、ワゴン車から見えなかったのではないかと考えられている。現地をグーグル地図で眺めたが、バス停の位置にも、複雑な交差点と横断歩道の関係にも、驚いた。たしかに「危険なバス停」である。その後、バス停や横断歩道を改善できないか、検討されているそうだ。

 ドイツでは、バス停脇の歩道に待合所が置かれるのが普通で、事故があった「三ツ沢南町停留所」のように、バス停を示す標識があるだけという例は少ない。しかし、歩道と待合所が整備されていても、バスを降りてすぐに反対側に横断する状況はやはり生じる。だから、日本と同じように、停車中のバスのために道路を横断する人が見えず、危うい状況が生まれることがある。

エッセン市の北部にあるこのバス停の標識板には、「とくに注意が必要なバス停」であることを示す「赤い三角形」が付けられている。標識板背後の歩道に見えるのは、バスを待つ客のための待合所である。(Der Westen紙より)
 ドイツの交通規則には、停車中のバスから降りて道路を横断する人を保護する規定がある。この規定は、全てのバス停を対象とするものと、とくに注意が必要なバス停を対象とするものの、2段階構成となっている。

 まず一般規定によると、バスがバス停に停まっている場合、車は対面方向を含み、注意して走行しなければならない。さらに、乗降客がいる場合、車は歩行速度で徐行しなければならない。私が車の免許をとるために交通規則を学んだのは40年以上前の話だが、日本にはバス停周囲での駐車を禁止する規定はあったが、注意や徐行に関する規則はなかった、と記憶している。

 次に、とくに注意が必要なバス停の場合である。「とくに注意が必要」とされるのは、近くに学校、保育所、高齢者施設などがあり、子どもや高齢者の乗降が多いバス停である。たとえば全市に1300箇所ほどのバス停があるエッセン市の場合、要注意と判断されているのは33箇所である。こう判断された停留所には、写真のように、標識板に「赤い三角形」が記されている。バスの運転手は、停留所に三角形を認めると、停車の少し前に警告灯を点滅し始める。点滅は停車中も継続し、発車の際に消される。そして、周囲をバスと同じ方向へ走っている車は、この「警告灯の点滅」を認めた場合、歩行速度で徐行し、バスを追い越してはならない。バスが停車したら追い越してもいいが、乗客に危険がないように歩行速度で徐行し、十分な間隔をとる必要がある。反対方向を走る車についても、同じく徐行の義務がある。

 警告灯点滅時における周囲の車の行動への規定は比較的新しいものだそうで、ドイツにも知らないドライバーがかなりいるらしい。だから、警察も啓発活動が必要だと認めている。ユーチューブには、警告灯点滅時の運転法を示す動画がアップされている。バスの警告灯が点滅し始めると、車のスピードが遅くなることがわかると思う。違反すると反則金70ユーロで、さらに点数も付くそうである。

 さて「三ツ沢南町停留所」だが、近くに高校があるが、そこには「翠嵐高校前」というバス停がある。だから、高校前バス停は「とくに注意が必要」な停留所になるだろうが、「三ツ沢南町停留所」は無理だろう。それでもドイツの一般規定では、バスがバス停に停まっている時は対面方向でも注意が必要で、乗降客がいたら歩行速度で徐行する義務がある。だから、運転手が交通規則を守っていたら、ドイツではこのような事故は起きないはずである。バス停や横断歩道の位置も問題だが、交通規則も検討してみる価値がある、と思う。
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| アウトバーンや交通規制 | 14:54 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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エッセンの社会実験は頻度増加と半額定期に落ち着く

 窒素酸化物削減の社会実験を行う連邦のモデル都市5つの一つに選ばれたエッセン、その実験内容がほぼ固まってきた。最終的に9月26日に行われる市議会本会議で決定する運びとなっており、その提案を記した文書を手に入れたので、主な内容を紹介したい。

 すでに紹介したように、窒素酸化物削減のための社会実験で連邦が当初モデル都市に提案したのは、「公共交通の無料化」であった。しかし、選定された5都市の全てが、無料化実験には問題が多いとして、提案を見送った。どの都市も、公共交通には苦労している。無料化による利用増大を処理するのは困難で、しかもエッセンだけで年間1億ユーロと多額の資金が必要である。そこで、無料化を除くいろいろな案を考えて連邦に提案し、その中から話し合いで実施内容が選定された。エッセンの場合、30種類もの提案を行ったそうだが、最終的に3件が採用された。もちろん、メインとなる公共交通に関する多額の経費が必要な2つの提案は採用され、残る1件は自転車道路の整備である。
エッセンで採用された窒素酸化物対策の概要
対策内訳経費
主要バス5路線の運行増加
(電車についても1路線を対象)
バス8両購入292万ユーロ1670万ユーロ
運営費用918万ユーロ
インフラ整備410万ユーロ
広報宣伝 50万ユーロ
新規顧客への割引チケット割引き400万ユーロ400万ユーロ
自転車道路の整備計画と工事 50万ユーロ 50万ユーロ

 総額は2,120万ユーロを超え、1ユーロを130円とすると、約28億円にもなる。連邦はこの金額の95%を補助し、残る5%はエッセン市が負担する。この表からわかるように、対策の中心はバスを頻繁に走らせ、マイカーからの転換を促すことにある。現在、主要なバス路線は通勤ピーク時に10分間隔で走っているが、これを半分の5分にする。そのためにはバスの購入、運転手の雇用や、一定のインフラ整備が必要になる。

 そして、マイカーから転換する顧客には、定期券をほぼ半額で提供する。社会実験は2019年と2020年の2年前行われるので、2年定期の形で提供される。2年間という長期の固定に問題のある人は、インターネットから登録すれば、「ある月の定期を購入したら、翌月が無料になるクーポンを受け取る」方法も提供される。

 エッセン市は、新規にマイカーから転換する顧客だけでなく、既存の顧客にも割引チケットの提供を考えていた。しかし、これは窒素酸化物削減には関係ないとして、連邦が認めなかった。さらに大きな問題が、バス運転手の確保である。5分毎の走行には、70人以上の新規運転手が必要になる。現在でも運転手の確保に苦労しているのに、順調に雇用できるのかには不安がある。運転手の雇用は他都市との競争であり、2年間の社会実験終了後の雇用を保障できないと、どうしても競争で不利になるからである。この不利を緩和するため、エッセン市は社会実験終了後にも一定の補助を継続するよう連邦に求めたが、認められなかった。

 今月末の市議会を通れば、割引チケットは来年1月から、頻度の増加は来年6月のダイヤ改正から実施される。この社会実験がどうなるのか、興味を持って観察していきたい。

| 公共交通 | 15:10 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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