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日本の地方議会は追求の場、ドイツは決定の場

 このところ、東京都の豊洲新市場に地下空間が発見されたことが、連日大きく報道されている。数日前には東京都議会が始まり、代表質問、そして一般質問と、小池都知事を始めとする行政を、議員が追求している。それで、知らず知らずに「日本とドイツの地方議会を比較」している自分に気づいた。

 報道を見ていて、地下空間が発見される前から都議会議員を務めていた議員が、都知事になったばかりの小池知事を追求している点には、少し違和感も感じた。しかし、最も強く感じたことは、「ドイツと日本の議会は、別物ではないか」という点である。私は、よもやま通信6都市の新聞記事で、市議会についての記事をよく目にする。確かに首長である市長を厳しく追及する場面も少なくないが、基本的に、それは「行政が提案した原案への反対意見」として議論される。つまり、市議会は「決定の場」なのである。

 一方、東京都議会では、登壇した議員が代表質問や一般質問で追求するが、その場で何かが決定されるわけではない。何を取りあげるのかも、質問に立つ議員が選定する。これは東京都議会が特殊なのではなく、各地の市町村議会もほぼ共通であり、議会は行政に対する「追求の場」である。「同じ地方議会でありながら、議論している内容が大きく違う」、これが私の感想である。

 そこで、少し調べてみた。現在行われている東京都議会は、「平成28年第3回定例会」である。知事提出議案が43件(予算案1件、条例案11件、決算2件、契約案10件、事件案6件、専決2件、人事案11件)あり、議員提出議案は決議の1件だけである。会期は9月28日から16日間で、本会議が予定されているのは10月4日(代表質問)、5日(一般質問、議案の付託)と13日(議案の決定)である。参考までに先月の福島市議会も調べてみたが、会期は9月1日からの約3週間のようで、9月7日から3日半にわたって本会議で「一般質問」が行われている。そして、委員会での審議を受け、9月23日が討論と採決である。
    その後、福島市議会は2年前に議会改革を行い、通年議会(通年会期)に移行していたことを知った。しかし、本会議が行われるのは以前と同じ「3ヶ月毎」である。現在は、まだ過渡期なのかもしれない。
 大きな位置にある東京都議会の「代表質問」と「一般質問」、あるいは福島市議会の「一般質問」は、基本的に「議員による行政の追及」である。その一方で、「提出されている議案はどういうものだろうか」と思って調べようと考えても、ホームページに議案の資料を見出すことはできなかった。

 ドイツの状況は、これとは大きく異なる。まず、「○○年第○回定例会」なるものはなく、五月雨式に本会議や各種委員会、さらには区評議会が行われている。市議会本会議は年に6~7回行われるが、すべて1日で、大抵は昼過ぎから開始される。近年はホームページに議案やその資料が事前にアップされているので、ネットから提案内容を知ることができる。各議案は、とくに本会議の付託を受けることなく委員会や区評議会で扱われ、最後に本会議にたどり着く。だから、各党の賛否が事前の委員会でほぼわかっているという点で、本会議には少し儀式に近い面もある。

 ドイツでは議案の内容が事前に詳しく知らされているので、簡単な案件では本会議で直ちに採決が行われ、重要案件や意見対立がある場合は、各党が見解を表明した後に採決されることが多い。市民の関心が高い重要案件で、議員や行政の間で意見が戦わされることも時々ある。だが、日本の「代表質問」や「一般質問」に相当する場は無い。だから、議会は「決定の場」である。

 どうしてこのような違いがあるのだろうか。そして、この違いが、小池新知事が追及するとしている「都政の透明化」とどのような関連にあるのだろうか。これからも考えていきたい

過去か未来か、そして権限は? (2016.10.07)

 東京都議会では、場所を本会議から経済・港湾委員会へ移し、豊洲問題が議論されている。「これまでの経過を解明する」ことが目ざされているので、扱っているのは「過去」のことである。過去のことは、追及するしかない。もちろん、「このようなことを繰り返してはならない」、あるいは「食の安全」という未来を見据えてのことである。一方、ドイツの市議会が扱っているのは、基本的に「今後どうするのか」という「未来」のことである。市議会には、それを決定する権限がある。

 良くわからないのが、豊洲問題の決定権限がどこにあったのか、ということである。日本では、議会に権限がない事項が、大きく扱われることが少なくない - たとえばまちづくりの課題では、都市計画審議会など、別の機関が権限を有している。何を行うにも予算が必要なので、「予算の決定権限を有す議会が、全権限を握っている」と割り切って考えるのは、少し行き過ぎであろう。

 もちろん、ドイツでも、議会で権限を有しないことが議論されることはある。しかし、まちづくりの権限が市議会にあることからわかるように、そういうケースは日本よりはるかに少ない感じがする。日本とドイツの地方議会の違いは、かなり深いところに根ざしているようである。
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