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ドイツでは庶民の墓地利用は期限付きが主体

 私が初めてドイツを訪問したのはもう50年ほど前の夏だが、町がきれいなのに驚いた。その原因のひとつが「緑」の多いことで、花もきれいだった。とくに日本との違いを感じたのが、「お墓」である。日本のお墓は「石」で構成され、墓石の前に花が飾られている。ところが、ドイツのお墓は全体的に緑で、そのなかに墓石が置かれていて、とてもきれいだった。日本は火葬、ドイツは土葬という埋葬方法の違いも関係しているのだろうがが、「お墓」というより、「公園」と言った方が適切だと感じた。

 土葬の場合は、広い面積が必要になる。死者は増加する一方なので、土地利用にもそれなりの影響があるだろう。ところが、最近になって火葬を選ぶ人も増えてきて、従来のように広い墓地は不要になり、墓地予定地を住宅地にしたり、墓地の跡を森林化するという報道も見られるようになった。

デュイスブルクのオストアッカー墓地の北部分では墓じまいが進行しており、残るは数ヶ所だけだった。(2015年撮影)
 右の写真は、デュイスブルク北部の墓地で、森林化が予定されている。埋葬件数が減少したので、南の方だけで十分なので、北側に埋葬するのは20年近く前に停止したそうである。数年内に墓地を全て整理して、森林化を目ざすという話しである。その墓地の北部を歩いてみると、墓地があったような跡はあった。しかし、使用されている墓地は数ヶ所しかなく、広い遊歩道だったと思われる場所の両側には、芝生が広がっていた。

 どうも良くわからないのが、「お墓と遺骨はどうなるのか」という点である。デュイスブルクの場合は、条例で20年間の「静穏期間」が保証されているだけのようである。これは、墓地の使用権が子孫へと受け継がれている日本とは、非常に異なる話しである。ドイツでも、数百年前に亡くなった有名人の墓地は残されているはずだが、庶民の墓地は消えるのだろうかと、疑問に思っていた。

 数日前に、そのヒントとなる新聞記事があった。ボーフムでは、墓地の静穏期間は25年である。市外に住むある婦人の父親の墓地はボーフム市西部にあり、すでにこの期間が過ぎていた。最近、墓地をお参りに来た婦人は、「この墓地はしまわれる」と書かれた掲示を発見し、驚いた。父のお墓をこのまま維持したいと思い、市に期限延長について問い合わせた。しかし、市の回答は、彼女を落胆させるものだった。そこは棺を順番に埋葬するための墓地で、条例によると、死亡に際し、1回だけ静穏期間が確保されるだけで、家族がいつまでも利用できる権利は与えられないそうである。

 ただ、市は、彼女に、父親の墓を今後も維持する方法はあることを説明した。彼女が住む市には、長期的に利用できる家族墓地が提供されている。だから、市は「遺骨の掘り出し」に同意するので、そこを入手して墓地証明を示せば改葬できる、ということである。しかし、彼女は改葬には同意しなかった。遺骨を掘り出して静穏を破りたくないことと、家族墓地は高価で財政的に無理なためである。市は、この月末に、墓じまいを行う予定にしているそうだ。
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