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「メルケル与党、過去最悪の大敗」、でも議席は同数

 今週に入り、ドイツのノルトライン・ヴェストファーレン州議会選挙で州首相ハンネローレ・クラフトが率いるドイツ社会民主党(SPD)が勝利したことが紙面を賑わせている。一方、ドイツの国政を率いるメルケル政権の与党であるキリスト教民主同盟(CDU)が大敗し、戦後最低の得票率しか獲得できなかった。「では議席数は」と調べると、不思議なことに、CDUの議席数は前回と同じ67である。

 不思議なことがもう一つある。それは、前回の選挙では総議席数が181だったのに、今回は56も増加し、237になっている。増加が極端なので、ドイツでも不思議に思っている人がいるようで、説明している記事をみつけた。計算してみると、確かにCDUは67議席になる。日本と同じ「小選挙区と比例を組み合わせる方式」だが、「組み合わせて出てくる結果が逆になる」ことに驚いた。そこで、説明を試みたい。

 州議会選挙で、有権者は2票を有す。1票目は自分が属する選挙区から1人を選び、2票目は支持する政党を選ぶ。選挙区は計128あり、州議会の定数は一応181となっている。まず1票目で、小選挙区で得票が最も多かった候補が選ばれる。今回は、SPDがここで99議席を獲得し、CDUは残る29議席しか得られなかった。ところが、SPDの99議席は「獲得しすぎ」なのだそうだ。SPDは、2票目の39.1%しか獲得していないからである。得票が5%を超えた5党の2票目を全て合計すると93.1%になる。SPDは、この2票目の比率をもとに計算して、181×39.1/93.1の76議席しか権利がなかったのだそうだ。76の権利で99の議席を獲得したのだから、残る4党にも同じ比率で議席を配分しないと、州民の意思が州議会に反映されない、ということらしい。

 得票率が26.3%だったCDUの議席は、39.1%で99議席を獲得したSPDをもとに、次のようにして計算される。
  99/39.1×26.3=66.6
こうして、得票率が34.6%だった前回選挙と同じ67議席になるように、比例で38議席が配分される。もちろん、大勝したSPDには、比例の配分はない。

 日本の衆議院選挙では、小選挙区ほどではないが、比例でも大政党が多くを獲得し、小政党との議席数はさらに拡大する。ひと言で「小選挙区と比例」と言うが、全く逆方向の配分が存在することに驚いた。

 もちろん、ドイツの方法には欠点がある。今回、議員の数が多くなったため、議会の費用が年1200万ユーロほど多くかかるそうだ。財政が厳しいノルトライン・ヴェストファーレン州には、重い負担である。

 なお、SPDを勝利に導いたハンネローレ・クラフトは、ミュルハイムの出身である。ミュルハイムでは高齢化が非常に進んでおり、彼女が通った市北部の140年の伝統を有する小学校も、生徒不足で昨年度から新入生の受け入れを停止しており、3年後には閉校になる。
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