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ドイツの「子ども施設による騒音への特権付与法」の限界

 ミュルハイムの保育所に関する記事を書いた後、ネットサーフィンをしていて、ドイツには「子ども施設による騒音への特権付与法」ができたと話題になっていることを知った。世田谷区の保坂展人区長が、保育園の子どもの声が騒音だという苦情に困って発したTwitterの影響もあるそうだ。たとえばこのようなブログがあり、ドイツには子どもの騒音への特権付与法がつくられたと紹介しているブログも見つかった。

 しかし、ルール地方からは、ドイツもまた保育所建設で騒音問題に悩んでいるニュースが流れて来る。先日紹介したミュルハイムからも、昨年秋に、保育所の開設を目ざしている女性が、適切な場所を見出すことができず困っているというニュースが流れてきた。保育資格を有す2人の女性が、3歳未満児9名に自分たちの考える保育を行うため、住宅を探しているが見つからない、という記事である。住宅を探していると家主に相談すると、当初は関心をもってもらえる。しかし、それが保育所経営のためだとわかると、「話しがすぐに終わる」のだそうである。家主が恐れているのは、他の借家人からの抗議や苦情だろう、という。

 2人には豊かな予算があるわけではないので、集合住宅の1階を探しているのだそうだ。一戸建て住宅なら集合住宅よりは借りやすいだろうが、その予算はないそうである。すでに計画に半年を費やしているが、まだ見通しが立たない。それでもあきらめず、市や政党、そして教会に協力を申し入れるつもりだ、という。

 さて、ドイツの「子どもの騒音への特権付与法」だが、これは公害防止法を改正し、「認可不要な施設運営者の義務」に、こう追加した:「子どもの保育施設、子どもの遊び場、およびボール遊び場のような類似施設から子どもによって引き起こされる騒音の影響は、原則として有害な環境上の影響ではない。騒音の影響を判断する際には、騒音の許容値や規準を利用してはならない」。この規定は、保育所等を騒音による損害賠償請求の対象から外すことを目ざしているもので、これで保育所を建設しやすくなるという規定ではない。場合によっては、逆効果になるケースが出てくる恐れもある。

 ミュルハイムの2人は、その後、うまく保育所の場所を見つけられたのだろうか、それともまだなのだろうか。このような民間の施設が増えれば、市が保育所を設置する苦労も少なくなるはずである。ドイツも日本も、保育所建設の苦労は変わらないようだ。その上、ドイツでは訴訟のリスクが高い。だから、「子どもの騒音への特権付与法」は、もっぱら訴訟リスクを下げるための立法だと考えるべきだろう。
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